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第67話 ※

 黒木の手が、シャツの裾からスルッと入って俺の胸を撫でた。 「んんっ、そこ、だめだって……っ」 「だめ?」 「また……すぐイッちゃう……からぁ……っ、あ……っ」  乳首をはじいてクルクル撫でられ、一気に頭が真っ白になっていく。  「や……だめっ、あ……っ、イク……イッちゃう……っ、やだっ」  ゆっくりやるって言ったじゃんっ。 「ゆっくりやるよ」 「ど……こがっ、あぁっ、ゔゔーー……ッッ!」  グッと奥に突き入れられてあっという間にイかされた。  ……どこがゆっくりなんだよ。  そう思ったけど、俺の中の黒木がまだ大きい。  イッたあとはつらいだろ、といつも俺がイッた後に追いかけるようにイク黒木がまだ大きい。 「くろき……イけなかった……?」 「こらえてるだけだ。ゆっくりやるって言っただろ?」  黒木はそう言って、俺の中に入ったままじっと動かない。  心はずっと『可愛い』『好き』を繰り返してる。  幸せすぎて涙がにじむ。好きがあふれてもう止まらない。胸……苦しい……。   「……いいよ」 『動いていいよ』 「まだ。野間がちゃんと落ち着くまでこのままで」  俺をぎゅっと抱きしめて、うなじにチュッとキスをする。 「ん……」 『昨日もできたし、平気だってば……』 「このままでいたほうが、お前の中にずっといられるだろ?」 『ずっと野間とつながっていたい……』  黒木の言葉が甘い……。甘すぎて俺、とけて消えちゃいそう……。ときめきすぎてほんと苦しい……。  俺もずっと黒木とつながっていたい。  嬉しい。ほんと黒木大好き。ぶわっと感情があふれて胸がぎゅぅっと締めつけられた。 「ゔ……」 「……泣いてるのか?」 『幸せすぎて……』 「俺も幸せすぎて泣きそうだ……」  黒木の唇が、うなじから首筋へと移動しながらリップ音を響かせ、耳までくるとささやいた。 「好きだよ、徹平」 「は……っ、ぁ……」    急に名前を呼ばれて、身体が震えるほど喜びがこみ上げる。  俺の全身が喜んで、まるでイッたときみたいに目の前に星がチカチカ飛んだ。 「黒……あ……、が、岳……っ」 「徹平」 「岳、岳……っ、ゔ……」  名前呼び、すげぇ幸せ……っ。  俺たち本当に恋人だ……っ。  また魔法の言葉がふえた。『好き』が天国なら『徹平』はなんだろう。  ほんとやばい……幸せすぎる……。  岳……岳……岳。……うわ、どうしよっ。呼ぶたびにときめくじゃん……っ。  恥ずかしくて思わず両手で顔をおおった。   『可愛い。こんなに喜ぶならもっとはやく名前で呼べばよかったな』 「ほんと可愛い。徹平」 「ぁ……っ」  耳元で甘くささやかれる。  うう、もうだめ……耳とける……。  黒木がクッと笑った。 「が、岳」  はやく慣れたくて意味もなく名前を呼んだ。  ……あれ?   「うん?」 「岳?」 「なんだ?」 「……黒木?」 「なんだよ、どうした?」 「がーく」    もしかして、と思ったけどやっぱり気のせいじゃない。  おかしくて小さく吹き出した。 「おい、気のせいじゃないってなんだ、徹平」 「なんで岳って呼ぶと下が返事すんの?」 「下?」 『下ってなんだ』 「岳。がーく。……ほら、下がピクッて返事すんじゃん」 「……は?」 『下って……あ、下か』    岳って呼ぶたびに俺の中でピクッと返事をする岳が可愛い。笑いがこらえきれない。 「岳。がーく。もぉなんだよ、可愛いすぎるって、岳」 「徹平」 「ぁっ……」 「お前も下が返事するぞ? キュッて」 「み……耳元で言うから、だろ。……それずりぃじゃんっ」  耳への刺激と名前のせいで、スイッチが入ったように後ろがうずく。   「徹平。ほら、耳元じゃなくてもキュッってなる」 「ぁ……っ、それ……うなじ……っ、反則だって、岳っ」  さっきまで可愛かった下の返事が、いまは刺激になってやばい。   『これじゃ動かなくてもやばいな。可愛いし気持ちいいしほんと参る……』 「名前だけでイけるんじゃないか? 徹平」 「んん……っ、が、岳もだろ? ぁ……っ」 「じゃあどっちが先にイクか勝負するか? 徹平」  なんだそれ、どんな勝負だよ、と俺は吹き出した。   「もー笑わせんなって岳」 「本気だぞ」 「えっ?」  冗談かと思って笑ったのに、黒木の心が俺の名前を連呼し始める。  なにもう俺の彼氏、おもしろ可愛いんだけど。

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