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7.自然な気持ちで
「オレ……オレ、も。好き……です。たぶん、ずっと好きだった、と思う」
「思うって……」
「ごめん……何かよくわかんな……」
涙が溢れてくると、湊兄がオレの顔を優しく肩に埋めさせてくれる。
落ち着くまでずっと頭を撫でられた。
「大丈夫、大丈夫だよ……絢くん、感情豊かなタイプじゃないから、ビックリしちゃっただけだよね? ありがとう、絢くん。好きって言ってもらえて、凄く嬉しい」
「……っ、……」
男としてどうなの? と思ったけど。
自分で制御出来ないときってあるんだな。
漸く落ち着いてきたころには大分身体も冷えてしまった。
湊兄と触れているところだけがあったかい。
「も、大丈夫……コート汚して、ごめん……」
「そんなこと、気にしないで? でも良かった。覚悟はしてたんだけど、絢くんと同じ気持ちで嬉しい」
目が合うと嬉しそうに微笑んでる湊兄と目があって、今酷い顔をしているオレを見てほしくなくて、慌てて目線を逸した。
「んな、見るなよ。カッコ悪いから……」
「大丈夫だよ。絢くんはカッコいいよ。泣いた後も、カッコ可愛い」
「は? 何、それ……はずい、し」
「だって、絢くんモテるから。大学に来たら絶対モテるだろうなって心配してた」
クスクスと笑ってる湊兄に、それは湊兄でしょうが、とツッコミたかった。
「告白、されたことはあったけど、興味なかったし」
「ほらー。あるし」
「湊兄の方こそ、あるくせに」
「ふふ。内緒です」
悪戯っぽく笑んで、シーっと人差し指を唇に当てる仕草にドキっとする。
「なんだよ、それ。も、いいから。ここ寒いし」
「綺麗だけど、積もりそうだし。帰ろっか。ね、ケーキ買って帰る?」
身体が離れていくと少し寂しさを感じたけど、代わりに左手が取られて指を絡まされた。
いわゆる、恋人つなぎってヤツ。
「ちょ、いくらクリスマスだからって。男同士でイチャイチャしてたら目立つって。それに、湊兄は目立つから……」
「えぇー? みんな自分たちがラブラブだから気にしないと思うけどなぁ。あと、折角両想いになったんだし。二人でいるときは、名前で呼び合おう? はい、練習」
「いやだから、何で勝手に決めて……」
「何で? いいでしょう? ね、絢斗」
改めて名前を呼ばれると擽ったい。
あー……恥ずい。
絶対、今、顔赤くなってる。
「急にキャラ変わりすぎ。なんでそんなにグイグイくんの?」
「そう? でも我慢してたからかな? ほらー。早く呼んでよ。ね?」
「……わかったよ。わかったから……湊介」
「うん。これ、恥ずかしいけどやっぱり嬉しいね」
湊介の顔も少しだけ赤くなったから、オレだけじゃないんだと思ったら安心できた。
嬉しそうな顔見てたら、文句も引っ込んだし。
なんか、未だについていけないし、ペースに飲み込まれそうだけど。
コレはコレで楽しいかもって思うと。
オレも自然と笑顔になれた。
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