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第21話

 元石はいつかのように正親の身体を清める。 『生きていて欲しかった……』  確かに正親の遺体を差し出せば、生き延びられる可能性は大いにあった。  もしかしたら、元石の頭脳をもってすれば、捕虜ではなく、新しい国で地位を与えられ、手厚くもてなされる可能性だってあっただろう。 「だからさ、慎が気に病む必要は全くないし、何なら、俺の方が殺せと命じた罪がある。虫が良いのも分かっているけど、もし、叶うならこの一生だけで良い。お前には正親豪を好きでいて欲しい」 『今の世界では俺は皇子ではないし、国の為に死ぬこともしなくて良い。それは慎にも言える』  と正親は言った。 「馬鹿だよ……君。僕もだけどさ」 『慎を超えるくらいのヤツなんて現れるなんて思わない』  とも正親は言った。 「良いよ。この元石慎の一生は君に捧げる。僕もそんなに器用じゃないだろうから」  ココアを飲んでいた時にリビングに差し込んでいた太陽が暮れていく。  お互い、この一生を君/お前だけに愛を捧げる……と誓って。

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