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いち

きよしこの夜 星はひかり すくいの御子は まぶねの中に ねむりたもう いとやすく……♪♪ 10年前、、聖歌を唄う少年聖歌隊のぼくらはずっと一緒にいる…そう思っていたのに 〝成長〝という別れを迎えた。 隣県に住む2人は聖歌隊の日だけの友達で除隊すればたぶんもう会わない 寂しいけどそういう世界だった 「ごほ…こほ」 「もしかして風邪?」 「違う…たぶん声変わりが始まる…」 「聖(せい)ちゃん……もう会えない?」 「いや…除隊しても会おうとおもえばまた会えるよ夜(よる)さよなら」 聖はその年のクリスマスキャロルを無事に唄い切り、しばらくして聖歌隊を除隊し姿を消した。 10年後クリスマスが終わる5分前…またここで。 譜面台に貼り付けられたメモを手にとり、夜はそっと…メモに口付け胸ポケットにしまい床へと崩れ落ちる 「言えばよかった…」 好きって 夜はじわりと涙を浮かべた…外の痛いような寒さ以上に心が痛くつらかった。 涙でぼやける夜の目に、チラチラと雪が舞い落ちてみえ、一層つらくその涙は顎をつたい、床へと落ちていった

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