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約束の10年後まであと1日のある日… 「夜ー。仕事遅れるよ?今日終業式でしょ」 「ねーちゃん。もっと早く起こしてー」 実家暮らしの夜はバタバタと出勤準備をはじめた。 「あんた早く寝ないから。夜ふかしは肌に悪いのよ?」 美容部員の仕事をしているねーちゃんは肌にうるさい 「つーか、口紅激しくない?真っ赤じゃん」 「何を言うの?勝負の時期なのよ?クリスマスが近いんだから。てゆーかあんたもリップ塗る!唇カサカサじゃないっ」 「えっめんどっ」 「ほら唇貸す。エチケットだよあんた」 ねーちゃんは鞄から取り出したリップをオレの唇へと塗りつけ、オレの鞄へ放った 「よしっ」 「もぅっねーちゃんのおせっかい」 「約束の日もうちょいなんでしょ?そういうとこもちゃんと気づかいなさい?」 「う…ねーちゃんのいじわる」 「いいわよ〜ロマンがあってめくるめく展開を期待しているわ。先、出るね」 ねーちゃんは声を弾ませながら出勤していった。 ねーちゃんはいわゆる腐女子というやつらしい… 全面的に応援してくれて嬉しいが少し恥ずかしい… 父さんと母さんはまだ知らないけど… そもそも聖ちゃんはオレの気持ちを知らないし ただの妄想なのに…期待が膨らむ 股間が膨らみそうでブンブンと頭を振り、鞄を手に取り職場へと向かった。 職場は高校で今日が終業式だ ・ ・ 「おはようございますー」 「よるるん先生っおっはよ!」 「ちょっ。その呼び方やめようよ」 「いいじゃんいいじゃん」 「お前らなぁ」 24歳という比較的若い年齢からかしょっちゅうからかわれているが、どの子もいい子で楽しい日々。 明日からは冬休みでしばらく会えないから少ししんみりする。さよならはやっぱ寂しい けど、今年は約束の年 しょげてばかりいられないから前を向く ・ ・ 終業後…誰もいない音楽室でピアノをポーンと押す。 昔は出ていたこの音もいまは出ない 低い音域で唄う きよしこの夜 未告げ受けし まきびとたちは 御子のまえに ぬかずきぬ かしこみて……♪ 夜はピアノの影に隠れて自慰をした 「聖…聖っんんっ」 聖を求め出したモノで真っ白に汚れた手を見て…ふっと笑みを浮かべる 「汚してごめん…でも大好きなんだ」

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