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第3話 この世界では同性婚は認められているのですか?

この世界に1ヶ月身を置いて、段々とわかってきたことがある。 この世界には「魔法」と呼ばれるものがあり、5つの属性が存在する。 ただ、魔法は皆が使えるものという訳ではなく、魔法を習う学校を卒業して居ないと、基本的には使えない。 さらに、治癒能力や状態異常の回復などは、聖女である私しか使えない神聖魔法と呼ばれるらしい。 魔法学校に通う人達は、最初からお金を持っている人たちが多いため、「貴族学園」とも言われていた。 中にはお金も持たず入学する人もいるらしいが、そういう人は魔力が膨大すぎるために入学させられてると言った感じなので、極めて例外に近い。 魔獣討伐には、3つの騎士団が参加している。 聖女の護衛のために特殊訓練を受けたもので構成される騎士団。 魔法学校を卒業した者で構成される騎士団。 街の護衛団体から選ばれた強い者で構成される騎士団。 この3つだ。 魔獣討伐の際にもそれぞれに役割があり、得意分野を活かして戦うという戦術をとっているらしいのだが、この三つの騎士団はとにかく仲が悪い。 最初から選ばれた者として訓練を積んでいるエリート街道まっしぐらの騎士団。 「貴族学園」という金持ち学園で悠々自適に生活してきた騎士団。 その街を自分たちで守ろうと自ら立ち上がり特訓を重ねた騎士団。 当然の事ながら、この3つは馬が合わない。 この1ヶ月、治療や視察などで騎士たちを見る機会は多かったのだが、毎日のように罵り合い、喧嘩をしていた。 そしてなんと言っても、これだ。 マリア様が作ったという聖水。 さっきも言った通り、魔法には5つの属性しか存在していない。 そして、治癒能力や状態異常の回復といった魔法は、聖女である私しか使えない。 でもここにある聖水は、そのどれにも当てはまらない。 興奮状態付与、体温上昇、機能上昇。 これらの効果は、恐らく媚薬に近い。 おかしいとは思っていた。 マリア様は、聖女の能力は受け継いでいないと言っていたのに、私をこの世界に召喚できる程の神聖な力は持っていた。 しかも、それは私のものとは比べ物にならないくらい膨大なものらしい。 そんな力を持った人が、何の能力も持っていないのはさすがにおかしすぎる。 もしかしてマリア様には、他者に「状態異常」を付与する能力があるのではないだろうか。 ちょっと確かめてみたいかも。 そう思っていた時。 ベンチに座る私の肩を、ポンと叩いてきた男がいた。 「よ、聖女様。」 デュークという男だった。 この男は第3騎士団、街の護衛団体から構成された騎士団の団長様だ。 他の騎士団とは違い、貴族のような教育は受けていないので、話し方にも上品さというものはまるで感じられない。 しかもこの男は、団長という偉い立場であるにも関わらず、毎日のように大酒を飲み、エリート騎士たちと殴り合いの喧嘩をしている。 そんな彼にも美しい妻と可愛らしいお子さんが……いると思っていたのだが、どうやらこの男はまだ独身らしい。 しかも、女がいる気配もまるでないそうだ。 「そろそろ身を固めた方がいいっすよ」という部下の声を、もう何度聞いたことか。 ただ、私は聞き逃さなかった。 この男が、そのようなことを言われた時に一度、「そうだよなぁ……」と言ったことを。 そう、つまり彼には既に愛する人がいる。 しかも、女がいる気配がないという証言を信じるのであれば、その相手は恐らく、男だ。 この男のことは正直あまり好きではないが、これがBがLする展開になっているとなると話は別だ。 「あの、少し聞きたいことがあるんですけど。」 「ん?なんだ?俺に惚れたか?」 そんなわけねぇだろ。 「違います。」 「なんだ、そうか。残念。で?何だ、聞きたいことって。」 「この世界では同性婚は認められているのですか?」 男は口から水を吹き出した。 「な、何でそんなこと、」 「この世界のことを聞いているだけです。答えてください。」 「……別に、結婚は自由意志だ。普通にできるだろ。」 ふーん。 「団長様は、今いくつですか?」 「あ?急になんだってんだ。30だよ、30。」 「いいお年頃ですよね、身を固めるには。」 「何だ、聖女様が結婚でもしてくれるってのか?俺はいつでも大歓迎だぜ。」 「違いますよ。ただ、団長様にはそういう相手はいらっしゃるのかなと。」 男は少し真剣な顔になった。 「……いるよ。」 ほーん。

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