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第1話

二階堂(にかいどう)琉生(るい)。24歳。 俺は仕事の休憩中、いつものようにいつものカフェで大好きなコーヒーフラペチーノとホットドッグを頬張っていた。俺の幸福時間はそう、この時間なのだ。俺の幸福時間もおわり会計するためレジへ向かう。ズラリと並んでいるレジ。なんでこんな並んでんだ……?と先頭の方を見るとなにか揉めている男と店員の姿があった。 「クレジットカードが使えない……?今更そんな店あんのかよ。俺は現金持ってねえんだよ!」 「そんなこと言われましても……。現金払いしかできないので……」 本当に迷惑な客だ。どうして先に確認してから来ないんだ?男の後ろに並んでいる客達もみんなイライラモード。俺も昼休憩の時間が迫っているためイライラしていた。 《しょうがない俺が払ってやるか》レジの先頭へ向かっていく。 「お姉さんこの人のお会計と俺の会計一緒にしてもらっていいですか?」 「え……でも……」 「後ろの人達も困ってるし大丈夫ですよ。幾らですか?」 「合計で1600円です……」 俺はいつもこの店で1000円を払っているということはこいつは600円のためにこんな列を作っていたのか……1600円を払いその場を去ろうとした時、 「おい」声をする方を振り向けば迷惑男。 「なんですか?」 「助かった。ぜひお礼をさせてくれ」 以外と律儀なのか……?まあでも人助けだと思ってこの時は断った。 「これくらいのことで別に大丈夫ですよ」 「いや礼儀としてそれが当たり前だ!」 だったら列なんて作るなよ……とは思ったけどしつこい男の誘いを断って逃げるようにその場を去っていった。 しかし、かなりイケメンだったな……あの男。 スーツ越しからでもわかる筋肉質な体。俺だって180はあるのにそんな俺の身長をあいつは超えていた。187くらいだろうか……?爽やかイケメンというより男も憧れるくらいの男前タイプの顔だ。 「ただいま戻りました〜」 「琉生〜俺とご飯行こって約束したのに〜」 「だってお前遅いもん」 こいつは俺の幼馴染。海原(かいはら)瑞希(みずき)。俺がこの会社に入るって言ったらなぜかこいつも付いてきた……本当バカなやつだ。でも良い奴だしなんだかんだ好きではある。 「そういえば聞いてくれよ!」ついさっきあった出来事を瑞希に話した。 「何その人おもしろい人だね〜」なんて言って笑っていた瑞希だが俺は全く持って笑えない。せっかくの幸福時間を邪魔したあの男……俺は苦手だ。

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