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第2話

あの迷惑男の件から一週間たった頃。 「外にいた人カッコよすぎない?」 「背高いしヤバかったよね。うちの会社になにか用あるのかな?ちょっと声掛けてみよ〜」 なんて言ってる女性社員達の声が聞こえた。 好奇心で会社の玄関の方が見える窓から顔を覗かせる。 「は……?」そこにいたのはあの迷惑男だった。 え?なんであいついんの?あの高級車なに?怖いんだけど!え、怖すぎない? すると会社の自動ドアに向かって歩いていく男。 まさかあいつここの会社のお偉いさんでしたみたいなパターンだったりする?それだったら俺あの態度やばくない?焦った俺はバレないように必死に顔を隠し業務に取り掛かった。 この日は何も起こることはなく無事に仕事終了。 「琉生〜、一緒に帰ろ」 「おー、瑞希。仕事終わったのか?」 「今日は残業逃れた!さすが俺!天才」 「はいはい」瑞希の話を適当に流して玄関に向けて歩いていた。 自動ドアが開きその瞬間見えた物は…… 「よっ、ガキンチョ。あの時はありがとな」 迷惑男の姿だった。俺はビックリしすぎて開いた口が塞がらずただボーッと男を見ていた。 「な、な、なんでここに……?」 「お礼がまだだろ?」 俺の名前すら知らないのに会社を突き止めてこんな事するこの男に恐怖すら覚えた。瑞希の顔に目線を合わせる。誰この人?と目で訴えてくるからこの間のって目で訴え返す。俺の手を引っ張ってこの場から連れ出そうとしてくれた瑞希の手を引っ張る男。 「なんだ?お前」瑞希を睨む目は殺人でも犯すんじゃないか?というくらいの目つきだった。 「これは俺の幼馴染だから手放せよ。あんたこそなんなの?こんな所まで来て逆にこえーわ」この男の目線は俺に向く。 「お礼をしないと気が済まないんだ。頼むからお礼されてくれないか?うんと言うまでこいつの手は離さん。なんなら折るぞ?」 この男は本当に何者なんだ?こんなの脅迫だろ。 「……わかったよ。わかったから手放せ」 そう言うとニヤリと笑って車の助手席に押し込まれた。 瑞希にごめんと動作をして男に連れて行かれるがままの俺。なんか俺、余計なことしちゃった?人助けだと思って助けたけどなんかこの人、絶対おかしい。スーツなのになんか社会人って感じじゃないし、わざわざ会社突き止めるような奴だぞ……? 「あ、あの……どこへ向かうんでしょう?」 「飯だ」 「だからどこに……?」 「俺のお気に入りの場所だ」 あぁ、怖い。お礼をしてくれるだけなのに怖い。 ビクビクとしながら助手席の窓を眺めて気を紛らわすしかなかった。

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