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第1話 俺は三好涼介

俺の名前は三好涼介。三好家の次男だ。人目を憚らずにイチャつくアルファとオメガの両親にうんざりしてる俺だけど、歳の離れた弟の理玖は可愛くて仕方がない。 でも俺だけじゃなくて家族中が甘やかしてるから、俺とお手伝いさんの野村さんで、理玖を真っ当な人間にしようと頑張っている。俺の親友の篤哉も昔から理玖を溺愛していて、ちょっとうちの父親を思わせるその眼差しに、もしかしてって思ったり、思わなかったり。 小さい頃から理玖が、篤哉の事大好きってじゃれつくのはお約束だけど、その時の篤哉の眼差しが蕩けるようになったのは小4ぐらいからだっただろうか。俺は友達のそんな眼差しを見てゾッとしたからよく覚えてるんだ。 だってその時、理玖は幼稚園のヨチヨチなんだぜ?ちょっとあり得ないだろう?でも理玖も篤哉のことは無条件に大好きだから両思いなのかって冗談で言ってたんだ。最近は二人ともあんまり顔を合わせてないみたいだけどね。 今高三の兄貴の彗は、三好家の跡継ぎっていうプレッシャーもあるせいか、俺みたいに適当じゃなくて、品行方正な長男らしい佇まいだけど…。俺に言わせれば、裏で何やってるか分かんないタイプなのは間違いない。 実際、親の目を盗んで昨日も朝帰りしてたし。三人の兄弟の中で多分一番腹黒だ。まぁ、もっともその点でも理玖はお腹の中が透明で非常に分かりやすい人間だから、俺はそんなところも可愛いなって思うのかもしれないな。 結局俺は周囲の人間を心配ばかりしていて、振り回されてばかりいるんだ。でも俺も中学三年で、一応附属高校への進学というか、コース分けが掛かってるから今は自分の事で精一杯だけどね。 通ってる英明大学附属中学部は小学部もある伝統校だから、金持ちが多い。自然αの親も多いし、反対にうちみたいな番の親も多い。そうなると子供のα率が上がる。 何が大変って、α同士の競争がえげつないんだよ。結構必死で取り組まないと、特進コースに入れない。うちの兄貴の彗はもちろん特進コース。本当、夜遊びしてるくせに、見かけは優等生なんだからやんなるよ。 俺は気楽な次男だから、別にうちの会社のために勉強頑張ってるわけじゃないんだ。俺は将来自分で起業しようと思ってて、そのための人脈作りのために、中学と同様、生徒会に入りたいんだ。 高校の生徒会メンバーへの狭き門に入るには、特進コースは必須だから結構必死だよ。俺の親友や、つるんでる仲間も一緒に協力してくれると良いんだけどね。

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