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第2話 俺の兄弟

親友の篤哉は兄貴に似たタイプで、必死なのは見たことないけどそこそこ結果出してくるから、やっぱり特進だろうな。まぁ、あいつは東グループ背負ってるしな。 やっぱり兄貴も、篤哉も、跡継ぎっていうプレッシャーを抱えてて、想像するだけでも面倒臭そうだ。そこはちょっと同情するわ。このままいくと、理玖が篤哉に絡め取られるんじゃないかなって思うけど、あんな呑気な理玖が東グループでやっていけるのかね? でも理玖も最近は大人っぽくなった。あんなにニコニコして可愛くて素直だったのに、ツンとする事も増えたし。突然自分で長い髪をバッサリ切ったのは2年前だったかな。 あの時、丁度俺は部活から帰ってきたところだったんだけど、玄関を開けたら野村さんの恐ろしい悲鳴が聞こえてビビったよ。一瞬でネットニュースに、この家で起きた猟奇的事件が大きく載るのかと肝を冷やしたほどだ。 まぁ蓋を開けてみれば、理玖が自分で髪を切ってたってだけの話なんだけど。三好家にとっては大事件かもなぁ。だって、理玖は肩までのふわふわの茶色のくせっ毛が、本当に可愛い天使みたいだったから。 俺も駆けつけて、目の前が酷い有様なのに、ご機嫌な様子の理玖を見た時はちょっとショックだったもんな。ちょっとホラーめいてたよ。 今振り返ると、ある意味あれが理玖の反抗期の始まりだったんだ。まぁ、基本理玖は素直な性格だから、反抗期って言っても可愛いもんだけどね。 先日理玖にデートって何するの?って聞かれて、どうしようかと思ったよ。一緒に遊びに行くだけだって言ったけど、何か疑いの眼差しだったなぁ。 小学生の頃のデートは確かに一緒に遊んだり、まぁ多少のスキンシップはあったけど可愛いものだったな。でも中学生になれば、俺たちアルファは将来のために勉強も兼ねて遊びまわるのが大半だ。 アルファは誘惑も多いから、大人になって失敗するより、学生の頃に色々慣れた方が良いって考え方が最近はメジャーだ。オメガのヒートに煽られないように、アルファ専用の強力な抑制剤も皆持ち歩いてる。 アルファもオメガもベーターも、それぞれがある意味親の時代より自由恋愛出来る様になったんじゃないか?特に20年前のオメガの扱いは酷かったもんな。…理玖はもしかしたらオメガかもしれないから、この時代に生まれて本当に良かったと思うよ。 俺は、何となくオメガとの甘ったるい関係は性に合わないんだ。雁字搦めに取り込まれる感じが怖い。両親見てると、それはそれで幸せそうだけどね。 誘われたからベーターの男とも、女ともデートしたけど、なんて言うかピンと来なかった。多分俺の性格がキツイから、怖がらせちゃってるんだろうなって。 まぁ、高校になったらもっと真剣に誰かと付き合うのも良いかもね。今は特進進学のためにやる事やらなきゃな。

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