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第17話 鷺沼sideこれは現実?

何だか気分が高揚して眠れなかった。あの三好からの電話。…本当だろうか?俺はさっき交わした三好との会話を思い起こした。 『セフレじゃなきゃいいわけ?』 確かに三好はそう言った。俺は思わず両手で顔を覆いながら呟いた。 「…やばい。嬉しくてしねる…。これ、やっぱ勘違いだったとか言ったら、マジでころすからな、三好。」 そう言いながらも、俺の口元はニヤついてしまった。それでも俺はまだ信じられなくて、これがぬか喜びになるかもしれない可能性はあると思いながら、どこか自分でこれ以上傷付かないように保険を掛けたんだ。 だって、あの気位の高い猫の様なアイツが、誰かのものになるとか全然イメージわかないし。そりゃ、俺はそう望んだけど、それが現実味を帯びるとか言うのは別の話だ。 俺はため息をついて、熱くなる身体を無視して眠りについたのは、すっかり夜明け前だった気がする。結局寝坊して3限目から授業に出た俺は、周囲に寝坊を揶揄われながら一緒に学食のカフェへ行った。 こんな時に直ぐに遠目でも三好の姿を見つけてしまうのは、我ながら一途だと思うけど、今日は三好も俺を見ていた。俺が思わず手を上げて合図すると、三好はそろそろと小さく手をあげて片手で顔を覆った。 …あれって照れてんのか?俺は急に現実が押し寄せてきて、ランチを食べ終えてノンシュガーの紅茶を飲む頃には、辛抱できなくなった。俺は立ち上がると、同じように食事を終えた様子の三好のところへ向かった。 三好は俺に気がつくと、仲間と離れて俺に向かって歩いてきた。 「…鷺沼先輩。昨日は遅くにすみませんでした。」 俺はいつもの外面を貼り付けた三好に苦笑すると、言った。 「…ちょっと今良いか?俺も落ち着かなくて授業にならないから。」 そう言うと、三好は一瞬迷ったように目を伏せたけど、俺を再び見つめて頷いたので、先に立って歩き出した。俺は時々三好と一緒にしけ込んだ資料室に入ると、三好と向かい合った。 「昨日の話だけど、あれって俺の勘違いじゃなきゃ、涼介って呼んでも良いって事だよね?」 馬鹿みたいにドキドキする心臓を感じながら思い切って話を切り出すと、そっぽを向いていた涼介は俺をチラッと見て頷いた。 「…ああ。いいよ。」 俺は心臓が壊れそうと思いながら、涼介に言った。 「じゃあ、お前からこっち来て…。」

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