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side. Subaru 「晃亮…?」 ざわつく心臓を抱えたまま。 円サンから離れ、晃亮に近づく。 目の前まで来れば肩に手を置かれて、 低く妖艶な声音で囁かれた。 (俺の敵だ…─────潰せ。) ─────解るよな? 俺の中では、絶対的な支配者。 彼にそう命じられたら、 例え愛しい人の願いでも、無力となる。 だから、コタエはひとつ。 「──────…ハイ。」 返事だけして、先程の2人が消え去った方へ駆け出す。 「昴クン、何処行くの~?」 「ヤボ用だ…すぐ終わる。」 何も知らない円サンが、 「待ってるよ~!」と俺に叫んでいる。 きっといつものように、目一杯手を振りながら。 それに応える事無く、俺は奥歯を噛み締めた。 (すみません、円サン。) 例えアナタに想いを寄せていようとも。 俺には、選べそうにありません…。 (もし晃亮が…) 貴方を欲してしまったら… 「くッ……!」 それが、最悪の事態に繋がったとしても。 俺は、アナタに… 何もしてあげられないかも、しれません───… 「…ったくよ~染みになっちまったじゃねぇかよ。」 「いいじゃん~パス代浮いたんだしぃ?」 「あ?…そう言えばお前、あのメッシュ野郎に色気振り撒いてたろ?」 「え~、だってアンタの100億万倍カッコ良かったんだもん!!」 「お前少しは遠慮しろよ…。」 建物の影、人目に付かない場所でギャーギャー喚き散らす派手な男女。 流石に広場で騒ぎになるのは、避けたかったから。 …丁度良かった。 こんな事してる場合じゃないんだ。 円サンは今、晃亮とふたりきり。 早く、戻らなきゃなんないから────… 「オイ…」 「あ?」 グシャッ────!! 「キャアァッ…!!」 手っ取り早く、ぶっ潰す。 「ヒィィッ…!!」 振り返った瞬間、思い切り拳で薙ぎ倒し。 反動で一瞬宙に浮いたソイツを、すぐさま逆から拳を握り顔面にぶち込めば───… 勢い良く吹き飛んで、建物の壁に鈍い音をたてて激突し。 そのままくたりと、動かなくなった。 女に視線を移せば、悲鳴を上げ腰を抜かしてしまい。 塗りたくった化粧は涙でグチャグチャになっていた。 「ヒッ…!」 「金…返して。」 女に近付き、手を差し出す。 ガタガタと震えながらも、状況を察したのか…。 覚束ない手で、鞄から財布を出すと。 7千円を抜き取って急いで差し出した。 俺はそこからクリーニング代を差し引いて、 5千円だけを受け取る。 「ごめん、命令だから…」 泣き崩れる女に、罪悪感が沸き起こり…。 言い訳みたいな捨て台詞を残して、踵を返す。 酷い奴だと思われても仕方ない。 例え命令だとしても、 手を下したのは、俺だから…。 今はただ、この胸騒ぎを早く消したくて。 顔に飛び散った返り血にすら、目もくれず… 円サンの所まで、俺は全力で走った。

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