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side. Kousuke
「遅いね~、昴クン。」
ベンチに座り、買ってきたコーラを飲みながら、
円は昴が向かった先を何度も見やる。
「ふたりはお隣さん同士の、幼なじみなんだよね~?」
「ああ…生まれる前からな。」
「前…?てゆーか、ふたりはホントの兄弟みたいだよね~。」
羨ましいなぁと、笑う円。
自分にも年が離れた姉と兄がいるのだと、楽しそうに話した。
本当の俺達を知らない円は、普通に接してくる。
何より驚いたのは、
俺が、他人に合わせて接している事だった。
最初は『ヘンなやつ』程度に興味が湧いて。
気づいた時には、もう
ハマっていた。
「昴クンもね、言ってたよ。」
晃亮は兄みたいなものなんだ…と。
「すばる、が?」
実際は、そんなキレイなものじゃない。
アイツは、縛られているだけだ。
「メッセージでだけどね~。昴クンて口下手な感じでしょ?あっ晃亮クンもそうだし。やっぱり似てるよね、キミ達!」
昴がメールを意欲的にする所など、想像が出来ない。
常に他人に牙を剥いて、
俺にしか応えないような、
全てを遮断して生きてきたのに、な…。
(ああ、そういえば…)
2年前の″あの日″にも、
こんなことがあった気がする。
過去などすぐに切り捨てていたから、
うろ覚えだったが。
あの日を境に、アイツから禍々しさが消えてしまい。
女遊びも、自ら喧嘩に繰り出すことも、しなくなったから。
珍しく、記憶に残っていたが。
昴は、
真っ当な人間になりたがっていた。
そのクセいつまで経っても、
俺から離れようとしないから。
「兄弟…」
「ん?」
…ナンダソレハ?
「うーん…よく解んないけど────」
───なんでも許せるって事じゃないかな?
「フッ…」
「あれ…違ったかなぁ~?」
面白いな、コレ。
なぁ、昴。
お前が欲しがった意味が、わかったよ。
「決めた。」
「晃亮クン?」
俺を不思議そうに見つめる、円の後ろ。
こっちに向かって来た昴と、
目が合う。
俺はニヤリと笑い。
円を、抱き寄せた。
────お前はどれだけ、俺を許せる?
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