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side.Subaru 「………イヤ…?」 拒絶されたんだと勘違いした円サンは、 あからさまに表情を曇らせ、瞳を濡らし始めて。 俺は動揺しつつも、急いで首を横に振る。 「そ…そうじゃなくて…えと俺、汗かいてますからっ…」 早く円サンに会いたくて。 バイトが終わると着替えもせず、 暑い中そのまま全力疾走で帰ってきたものだから…。 …と説明したんだけど。 「オレ、平気だよ?昴クンの匂い好きだもん…。」 そう平然と答え立ち上がると、 首筋に顔を擦り寄せてくるから… 思いもよらぬ円サンの大胆な行動に、 俺はゴクリと喉を鳴らした。 「…いい匂い……コーヒー、かな?」 くんっと鼻を鳴らす円サン。 「…今日、美味しい煎れ方を教わったんです。円サンにも飲ませてあげたいと思って…」 「そっか……うん、昴クンのコーヒー飲みたい…」 自然な流れで目と目が合って、 顔を寄せ…キスをする。 当たり前みたいなその一連の行為が。 何より幸せで仕方なかった。 「ね…昴クン……」 “シよ…?”────と、首に腕を絡め、 色気を醸し出し俺を翻弄してくる円サン。 ここ数日ギクシャクしてたし、 バイトも重なってお互いご無沙汰だったから… 「あっ…でも先にここ片付けなきゃ…────」 我に返った円サンが、 辺りを見渡しシュンと眉根を下げる。 けれど一度誘惑されてしまった、俺の中の(ケダモノ)は… 「わっ……!?」 ─────もう、止められませんからね? 勢いよく円サンを腰から抱き上げると、 反動で驚いた円サンが首へとしがみついてくる。 俺は困惑する恋人を抱えたまま… 構わずリビングの方へとスタスタ歩き出した。 「…ぁ…昴くっ……」 寝室まで向かう時間すら、惜しい。 耐え切れずして、俺はリビングのソファの前で止まると… ゆっくりとそこに円サンを下ろした。 目が合えば頬を染め、 上目遣いで無意識に俺を誘ってくるものだから。 俺もうっとりと目を細め、 その愛らしい姿を堪能しつつ… 一気に食らい付いた。 「ンッ…ふぅ…ぁ…ッ……」 こんなに深いキスも、 なんだか随分と久し振りな気がして…。 まるで初めてキスした時のような興奮が蘇り、 急速に熱を上げていく。 俺はラグの上に跪き、 ソファーの背もたれに手を付いて。 円サンが俺の首へと腕を絡めてきたから… そのまま顔を寄せ、キスに没頭していった。 唾液が溢れ、円サンの顎を厭らしく濡らしても。 お互い唇を離す事はなく、クチュクチュと舌を交わらせ…激しく貪る。 「ふぁ…キスもっ…コーヒー味、だ……」 唇を震わせ、伏せていた目を開いて微笑む円サン。 「…おいしいねっ…昴クンのキス…」 そう甘ったるく囁いて… ペロリと舌を出し、ねだるように口を開いたから。 俺もそれに応えるよう…より深く唇を奪った。 すると円サンが言ったとおり、仄かな珈琲の苦みと、 砂糖みたく甘いキスの味が混ざり合って…。 俺達は更なる欲望の深みへと、(いざな)われていくんだ。

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