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第七章・5

「響也さん。く、苦しい……」 「困った子羊だよ。本当に、麻衣は!」 「終わったんですか? 響也さん、終わりましたか?」  まだまだ始まったばかりだよ、と響也は麻衣の額に口づけた。  それを聞いた麻衣は、不安げだ。 「子羊になっていれば、すぐ終わるって……」 「ああ、確かにそう言ったね。すまない」  しかし、高等教育まで受けた麻衣が、セックスをまるで知らないとは思えない。  尋ねてみると、性教育で学習した、という答えが返って来た。 「机の上で、お勉強しただけか」 「すみません。無知で」 「謝るようなことではないよ。気にしないで欲しい」  さて。  続きをやりたいところだが、麻衣が羊になってしまっては仕方がない。  響也は、日を改めることにした。 「今夜は、ここまでにしておこう。麻衣は、ちゃんと大切に扱うよ」 「だ、大丈夫です! 僕、我慢します!」 「セックスは、どちらかが我慢するようなことではない」  婚約者として、私の屋敷へ入ってから。  それから、深く体を交えよう。  響也は、そう言ってくれた。 (婚約者として、お屋敷へ……!)  いよいよ、飛鳥家に入る準備が整ったのだ。  麻衣は、自然と背筋を伸ばしていた。 【明日より年末年始の数日間、お休みをいただきます。  皆さま、良い年をお迎えください! <(_ _)>】

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