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第十七章・3

 では、と哲郎が麻衣に、今後の注意点など話しているところへ、響也がやって来た。 「おや? 響也は朝食中のはずだが?」 「5分で済ませた。それより、哲郎。麻衣は、どんな具合だ?」  どんな、って。  哲郎は、これまでの所見を語った。 「体温や血圧、血中酸素濃度は全て異常なし。肛門に裂傷及び炎症無し……」 「何!?」  目に見えて顔色の変わった響也に、哲郎は驚いた。 「何か俺、変なこと言ったか?」 「お、お前は! 麻衣の、尻を見たのか!?」 「診たよ」  おのれ、と哲郎の緩いネクタイを締めあげる響也だ。  麻衣は大慌てで、それを止めに入った。 「待ってください、響也さん! 先生は、僕がケガをしていないか診てくれただけです!」  麻衣にたしなめられ、響也はいったん哲郎から離れた。 「ま、まぁ、お前は腐っても医者だからな……」 「腐ってなんかいないぞ」  それはさておき、と響也は今度は身を乗り出した。 「どうなんだ? できたのか?」 「何が、できるんだ」 「たわけ。子どもに決まってるだろう。私と麻衣の、赤ちゃんだ!」  あまりに無邪気な響也の言葉に、哲郎は思わず吹き出していた。

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