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第十七章・2

 診察室には、すでに朝食を済ませた哲郎が控えていた。 「麻衣くん。響也は、優しくしてくれたかい?」 「はい」 「幸せな気持ちに、なれたかな?」 「とても」  頬を染め、微笑む麻衣に、哲郎は安心した。 (とりあえず、最初のハードルはクリアしたんだな)  体温や血圧、血中酸素濃度を測り、問診をする。 「昨夜は、よく眠れた? 倦怠感は? お腹はちゃんと空いてる?」  そんな診断を済ませて、哲郎は最後にこう言った。 「よし。じゃあ、お尻を見せて」 「え!?」  驚き戸惑う麻衣に、哲郎は診察ベッドを指し示した。 「ズボンを脱いで、お尻を出して。そこに、うつぶせに寝てから、腰を高く上げて」 「え、えっと。あの、その……」 「肛門が傷ついてないか、炎症を起こしてないかを、診るだけだよ」 「……」  真っ赤になってうつむいてしまった麻衣に、哲郎は明るく笑いかけた。 「心配しないで。俺は、医者だよ?」 「は、はい」  耳まで赤くなった麻衣を、哲郎は診た。  幸い異常は見られず、麻衣はすぐにスラックスを履くことができた。

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