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第三十五章・5

「響也さんの、……嘘つき!」 「え!?」  小さいが鋭い麻衣の声に、響也は思わず首を起こした。 「気持ちいい、って言ってくれたのに。嘘なんですね!」 「ええっ?」  本当なのに、嘘なんかじゃないのに。 「なぜ、そんな風に言うんだ?」 「だって……、勃ってません! 響也さんの!」 「あ!」  そう、確かに気持ちいい。  それは、嘘じゃない。  ただ、その気持ちよさは、少々性的な興奮には届いていなかったらしい。 「いや、あの。待って。ちゃんと、硬くなってるから! 触ってみたら、解るから!」 「さ、触る!?」  麻衣は、怯んだ。  他人の性器なんか、触ったことがない。 『あいつが妙に変態的なことを要求して来たら、きちんと断るんだ』  哲郎の言葉が、再び耳によぎる。  でも……。 (響也さんは、時々僕のものに触れてくれるし)  大丈夫なんだろう、多分!  麻衣は思いきって、響也の中心に触れた。

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