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第四十一章 ささやかな幸せ

 残暑も和らぎ、響也と麻衣は工房を訪れる時間が増えた。  ろくろを使っての成型や、繊細な絵付けよりも、麻衣は手びねりでの創作が好きだった。 「ゆっくりマイペースで、思った形のものを作れますから」  そんな麻衣の作品が、今日も窯出しされてきた。  響也はそれを、微笑ましく眺めた。 「これは……、サツマイモだね?」 「細舟形花器一輪挿し、です!」  ごめん、と笑い、響也は話題を替えようと、その隣の陶器を手にした。 「じゃあ、これは……。スパイスボトル、かな?」 「残念、ジャガイモです」  自由自在な、麻衣の発想だ。  響也は、降参した。 「参ったよ。君は、独創的な発想で、次から次に作品を世に送り出している」 「またまた。響也さんは、大げさですね」  二人で笑った後、麻衣はさっそく、次の作品について語り始めた。

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