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第20話 変わったといえば

駅に着くとメッセージ通りに海斗が待っていてくれた。僕は嬉しさで口元がニヤつかないように気をつけながら改札を抜けた。 「おはよ。待っててくれてありがとう。」 僕がそう言って歩き出すと、海斗がにっこり笑ってささやいた。 「おはよう。どうせなら朝も一緒に行きたくて。2年になってから選択授業が多くなったから、案外一緒の授業少ないだろ?」 僕は今までどんな顔で海斗と話をしていたか、もはや思い出せなかった。チラッと見ると海斗と目が合うのは、海斗が僕のこと見てるってこと? 「ね、あんまりこっち見ないで。…恥ずかしいから。」 僕は顔が熱くなるのを自覚しながら、口を尖らして海斗に文句を言った。海斗はクスッと笑って僕だけに聞こえるように言った。 「洸太、可愛い…。」 口をパクパクと開けたり閉めたりしながら、思わず立ち止まった僕を置いて、笑いながら歩き出す海斗の後を追いかけた。 「そう言うこと言うの禁止!」 僕たちがそうやっていつもの調子を取り戻すと、後ろからクラスメイトがやって来て僕はホッとしたような、残念な様な気持ちだった。 お昼休みはいつもの様に第二校舎に行ったけれど、鍵が交換されていて、もう入れなかった。そのうち管理人が鍵をチェックして、そうなるとは思っていたけれど、実際入れないとなると結構ガッカリしてしまった。 結局中庭のベンチで食べたけれど、流石にここはカップル率が多くて、男同士でも二人で食べてる生徒は居なかった。食べ終わると僕は海斗に今度から教室で食べようかって話したんだ。 すると海斗は眉をしかめて言った。 「せっかく二人だけでゆっくり食べられたのになぁ。最悪教室で食べるのはしょうがないけど、どっか良さげなところ見つけておく。俺は洸太と二人だけで食べたいから。」 僕は海斗に真っ直ぐ見つめられて、頷くことしか出来なかった。いや、ここ学校なんだけど。海斗がめっちゃ攻めてくるんだけど!僕耐えられない…。 ていうか、海斗ってこんな感じだっけ?いつもは何処でも良いよって感じで、自己主張しなかったのに。僕はまじまじと海斗を見て言った。 「なんか海斗性格が変わったみたい…?」 すると海斗は僕をじっと見て優しく微笑んで言った。 「そう?きっと好きな子が目の前にいて、浮かれてるせいかもしれないな。」 …だから、そう言うのやめて。僕、熱くて死にそう…。

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