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swear;33;環
「はー、すごい土砂降りになっちゃったね」
噴水の近くの東屋に入った。
渡辺君は本当にびしょびしょになってる…
「拭くものある?」
「や…これしか持ってないです」
濡れたスケッチブックと鉛筆…
ハンカチを出して、渡辺君に渡した。
「小さくてあんまり意味ないかもなんだけど、使って!」
「ありがとうございます」
カーディガンを持ってたんだった!
「渡辺君、ここ座って!」
ベンチを指差した。素直に座る。
渡辺君の背中側に回った。濡れてぺったんこの髪の上にカーディガンを乗せて、髪をわしわし拭いた。それから肩とにのうでを手のひらで押さえるように拭いて、そのままカーディガンを肩に引っ掛けた。
「先生、服、」
「たまたま持ってただけで、今着てたわけじゃないし全然使っていいよ!髪の毛、ちょっとはマシかなあ?」
「はい、ありがとうございます」
雨はどんどん強くなっている。局地的豪雨というやつかもしれない。まわりが真っ白で見えない。
「当分動けそうにないねえ」
「そうですね…こんな降るとは思わなかった」
「だよね、びっくりだよ…あ、ご飯食べそびれてた…」
渡辺君の隣に座って、目の前のテーブルにサンドイッチとドーナツを出した。それとオレンジジュース。
「一緒に食べない?さっき買ったんだ」
「え、悪いです、先生のなのに」
「いいよいいよ、いっぱいあるしね!サンドイッチ、めちゃくちゃボリュームある!はい、ひとつどうぞ」
押し付けるみたいに渡したら、受け取ってくれた。
「いただきます」
「いただきまーす」
雨の音がすごい。
並んで黙々と食べた。
ドーナツも半分こした。
それでも雨は止まない。
「いつ止むのかなあ?」
「あー………」
渡辺君はポケットからスマホを取り出した。
「……あと1時間後に止むらしいです」
「1時間後!わあ、大変だ…明日学校だよねえ…」
「まあ…俺は休みですけど…」
「あーーーー!そうじゃん!!いいなあ…」
「先生、雨弱まったら行ってください。俺は別に遅くなっても平気だし」
「いやいや、一緒に帰ろう。風邪引いたらダメだし。夏風邪は厄介だもんね」
「でも、もうここまで濡れちゃってるし、この後濡れてもあんまり変わらないというか…」
「寒くない?平気?」
「寒くはないかな」
テーブルに置かれた手を掴んだ。
「冷えてる!」
両手でぎゅっと触った。かなり冷たい。
骨張ってて細い、大きい手だった。かっこいい子は手まで素敵なのかー!
「先生の手、あったかいですね」
「でしょ?大体いつもぽかぽかしてるよ。反対の手も貸して」
素直に差し出してきた手を握った、
違う
冷たい手はわたしの手を掴んで、引っ張ってそれから、
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