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swear;32;環

美術館を出たら、もう17時になっていた。思ったより長居してしまった!お腹空いた。 そういえばまだ雨は降っていなくて、なんなら日差しもある。美術館の前の公園は広々してるから、ベンチでなにか食べることにした。 近くのカフェで、大きなサンドイッチとドーナツと、ペットボトルのオレンジジュースを買った。 買いすぎだろー!と思うけど、なんだろう、見た目に沿った装いの時は、店員さんの視線が痛い…なんていうことにはならない。 空いているベンチに座った。 暑いけど、日陰だからまだ居られる… ひと息ついて、ぼんやり周りを見た。そういえば掛けっぱなしだったメガネを外そう…としたとき、少し離れたところにある噴水が目に入った。それから、そのそばにスケッチブックを持って座ってる少し長い金髪…… ……あれって渡辺君だ!最近会ったから遠目にでも分かった。 前にソノちゃんの家から一緒に帰った時、美大に行きたいって話を聞いた。 渡辺君とは授業でしか接点がないけど、本当に優秀な生徒だ。夏休み前は黒髪だった。夏休みだからってこんな染めたんだ!って、結構びっくりだった。 女の子に捕まって、これは完全に告白されてんじゃん!!みたいなのを見かけた時は、なんかすごく羨ましい気分になった。まるで少女漫画のようだな!って…自分が経験したくてもできなかったことだ、って思って、遠目に眺めてしまった。 制服をかわいく着こなして、精一杯のメイクをして、好きな男子に話しかける… いいなあ、 ……ぽつ、って雨粒がほっぺに当たって我に帰った。まずい、降ってきた 折りたたみ傘を開いて、カバンを肩に引っ掛けた。渡辺君の方を見ると、スケッチブックを持ってその場にいる。傘をさす様子がない。 雨粒は大きくなってきて、だいぶ雨足も強まってきつつある。それでも、スケッチブックに目を落として動かない。 走ってそちらに向かった。 「おーい!」 渡辺君はゆっくりとこちらを見た。 濡れてしまって、髪から水が滴っている。 やっと近づいて、傘を傾けた。渡辺君は背が高い…傘の意味があるか怪しい、折りたたみだし… 「すごい濡れちゃったね…屋根あるところ行こう!」 腕を掴んで引っ張った。

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