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anxiety Xmas;67;都
ソノの家で、全力でだらだらしている。
そうでもしないとやってられなかった。何も考えたくない。
「都、風呂入れ」
「めんどくさい」
「もーーー!!」
「一緒に入る?」
「お前誰に言ってんの?」
「え?ソノ」
「先生だよ俺!!そもそも泊まるとかもありえないからっ」
「いいじゃん。非行に走るよりマシでしょ」
「もういっそ走ってこい非行に」
「やだよ、俺は学年上位で3年までやってきたんだから!」
「ややこしい奴だなほんと…」
「いいじゃん。一緒に入ろーよーーー」
「うるさいな耳元で!!分かったよ!!」
入りゃいいんだろっ!てぶつくさ言いながら、ソノは一緒にお風呂に入ってくれた。
でかい男ふたりでも全然入れるお風呂だった。
あと、ソノは細身に見えて結構筋肉質だったからだいぶ驚いた。
「デッサン案件じゃん」
「桂に比べたら俺なんてまだまだだよ」
「や、でも描いていい?せっかくだから」
「あー、なんでもいいよもう、そもそも一緒に風呂入ってんのも謎だし」
置いてあるタオルでさらっと体を拭いて、裸のままスケッチブックと鉛筆を取ってきた。
「濡れるじゃん、風呂に紙持ってきたら」
「サッと描くから大丈夫。そのまま浸かってて」
浴槽に脚を伸ばして入るソノを描いた。
全体、顔、上半身、目、前腕から指先
「こっちの脚、お風呂の縁に引っ掛けてくれない?」
「えー…」
「いいから!」
渋々…って感じで、ソノは浴槽の縁に右脚を掛けた。多少脚を広げるポーズだけど、やってくれちゃうんだなーって思った。
ソノの脚は、ほどよい筋肉がついている。
脚だけ描けたらいいなと思ってお願いしたポーズだったけど、全体も描いた。
「よし、終わり!」
「もう描けたの?」
「うん。デッサンだからあれだけど」
見せた。
ソノは目をまんまるくした。
「すご」
「そう?ありがとう」
「見せて」
ソノがページをめくるのを見た。
「あ、」
夏目先生の顔のデッサンが出てきた。
「環じゃん」
「……描いてたよね、だって好きだから。しっかりと終わりになったけど」
我ながらよく描けてる。
だから、消そうとか捨てようとかは思わない。
好きだったことも大切な思い出として、覚えておこうと思う。いつか記憶は薄れていくけど、それでもいい。
「環、へんなところで頑固だから」
「そうなの?」
「別にいいじゃん、って思うようなこともさ、すごく考えて気を遣って、遠慮したりするんだよ」
「…そっか」
もしかしたら、じゃあまだ可能性あるって思って思っちゃうじゃんね。
大きなため息を吐いてしまった。
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