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adore u;130;環

自分が落ち着きたくて、ハーブティーを淹れることにした。わたしはミントティー。 都くんには飲みやすいルイボスティーにした。 ミルクとはちみつを用意した。おやつも出しとこう。でもちょっとだけ。だって晩ご飯、食べると思うし、 都くんは、どんな私服で部屋に戻ってくるだろう? 制服姿は、すごくくるものがあった。 付き合うまでは全然意識したことなんてなかったのに、不思議だ… 「着替えたよー」 あーーーかっこいい のたうちまわりたくなる。なんでこんなかっこいいの?恋人フィルター?いや、フィルター取ったってかっこいい。最高すぎ。 今日はタイトな薄手のクリーム色のニットと、黒のワイドパンツ。 ……モデルか!モデルさんなのか!! 世の恋人がいる人たちは、こんなふうにいつも恋人のことを大好き!かっこいい!って思って心の中でのたうちまわってるのかな? ソノちゃんも桂に会うたびに、内心「かっこよすぎる!!!!」ってなってんのかなあ? 桂もそう。「そのさん今日も最高すぎるーー」ってにやにやしてんのかなあ? 「環?」 「はっ、……あ、ごめんごめん!お茶どうぞ」 「ありがとう。ねえ、今日って泊まってもいい?」 …そうなったらいいなーとは思ってたよ?泊まって行って、って公言はしなかったけど! うう、うれしい… そして泊まるってことは、きっとそういうことになるはずで、これもまたのたうちまわりたくなるというか… でもまだなんていうか、理性がないわけじゃないし、 「ご家族は、大丈夫なの?ほら、卒業したし、おめでとうとか」 「初めっから「今日はどうせハメ外すでしょ」って感じだったよ!迷惑かけない程度に遊んできていいよって」 「寛容」 「そうなのかな。うち、両親がだいぶ仲良いから、いないならいないで2人で楽しむからーって感じなんだよね。一緒に映画観たり、本貸し借りし合って、2人でずっと話してんの」 「すごい素敵なご両親だね!憧れるなあ」 「そう?じゃあ俺たちもそうなっていけたらいいね!」 ……そんなつもりで言ったわけじゃないとは思う。けど、まるでずっと一緒にいる…添い遂げる…そんな感じがしちゃうじゃないか…! 正直目の前のことでいっぱいいっぱいで、先のことなんて全く頭にない。 ずっと一緒にいたい、と口にしたことはあったけど、都くんが社会人になったら尚更…ゆくゆくは結婚して、こどもができて、みたいな、そういうふうになるんだろうな…と思う。だけどわたしにはそれが不可能で、だから ……だからいつか、つつがなく過ごせたとして…ありったけ見積もって10年くらい?したら、終わりが来るかも、って漠然と思った。 いつか終わってしまう。 だけどまだ悲観するには早い。だって今こんなに幸せだ。今を噛み締めないでどうする! 「そうだね!」 顔を上げて都くんを見たら、不安げな表情をしている。 「え…どうしたの?」 抱きしめられた。 「…お正月のソノと桂先生思い出した」 「えー?」 「結婚とか色々、なんかそういうので喧嘩してさ、ソノ、ボロ泣きしてたじゃん」 「あー…そうだったね、」 「今の変な間で考えてたでしょ、いつか別れるかもしれない、って」 「え!……あー…はは、そう……そうだね、でも別にあれだよ?そんな深刻な感じじゃなくて…ほら、めちゃくちゃな喧嘩とかしなければ、先行き10年は一緒にいられるかなあ?って!…」 都くんから、なにも返事がない。 ただ、隣り合わせに座ったラグの上で、抱きしめられたまま 「じ、10年は言いすぎた?重いかな、ごめんね!10年ってだいぶだもんねえ?私36歳になっちゃうし!36とかなんかすごいな……都くんは28歳だね!28歳とかだと、ほんとちょうどいい歳だよね。ぼちぼち結婚に向けて考えるみたいな、よくそういうの聞くかも。わたしは多分結婚はしないから、そういう話ってあんまりピンと来ないんだけど、その…なんだ……い……今が楽しければいいよ!!だから、そんな、あの、別れるとかそういうのはほら、最近やったし!ね?だから、10年は、わたしからは何も、言わないから!」 「俺が言うと思うの?別れようって」 わたしの肩に顔を押し付けてるから、くぐもった声になってる、 「お、思ってないよ!そんなすぐには」 「10年経ったら言う?俺、いつかそんなふうになる?」 涙声だった。 どうして泣いてるの、 「結婚しなきゃだし別れるわごめん、って、俺、そんなんになっちゃうのかな?そうだとしたら最低じゃん俺」 「最低じゃないよ!わ、わたしは、遠い将来そうなっても、都くんのことは全然責めないよ!そうなるのは当たり前のことだと思うし、」 「俺はそんな人間になりたくない。もし歳を重ねてそうなってしまうんだとしたら、俺どうしたらいいの、こんなに環のこと好きなのに、」 都くんの腕に、力がこもったのを感じた。 「もし俺がそんなこと言い出したら殴って」 「えー!な、殴らないよそんなの!」 「環お願い、俺のこともっと縛りつけてよ、」 体が離れて、頬に触られた。 都くんの目は赤くて、潤んでいた。 「俺のこと、絶対離さないで」 ……あまりにも美しかった。 わけのわからない話をしちゃってるし聞かされてるなあって思うのに、今目の前で泣きながらそんなこと言う都くんは、美しかった。 頼りなげで、儚げに見えた。 「絶対、離さないよ」 お互いに絡みついていく蔦のイメージが頭をよぎった。 いいのか悪いのか分からない。 でも、わたしだってずっと一緒にいたいし、都くんだってそう思っていてくれるなら、どこまでも絡みついてしまいたい。 涙で濡れた顔を両手で包んで、吸い寄せられるみたいに唇にキスをした。 それこそ深く深く、絡みつくみたいなキスになった。 こんなふうに長くするのは初めてかもしれない。ただただ、唇や舌の感触、音、温度、そういうのに全部意識がいっている。 ゆっくり離れたら、唇と唇のあいだに糸が渡った。 「環」 苦しいくらい強く、抱き合った。

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