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柊side9

『あ、俺何もプレゼント用意してねーや。なんかあげれるもんねーかな・・・・あ、ZIPPOしかねーわ、これやるよ。これ俺が気に入って10年くらい大事に使ってるやつ。あ、柊タバコ吸わないんだっけ?』 「いえ!吸わないけど大事にします。僕の宝物にします。寛太さん・・・実は今日、僕の誕生日でもあるんです。だから、クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントだと思ってずっとずっと大事に持ってます。」 僕がそう言うと、寛太さんはびっくりして目を見開いた。 『え?お前、今日誕生日なの?クリスマスイブに誕生日なんだ。だから今日俺と過ごしたいって言ったの?』 僕は恥ずかしくなりながらも寛太さんの目を見ながら頷くと 寛太さんは愛しいものを見るような目で僕を見た後、僕の耳元に顔を近づけ 『柊、誕生日おめでとう』 そう囁いた。 その時僕は期待してしまった。 僕を好きになんてなるはずがない人が もしかしたら今僕のことを好きでいてくれるのかもしれない。 さっきの愛しいものを見るような目で僕を見たのが勘違いではなければ、もしかしたら寛太さんも・・・・ そう思った瞬間、僕は寛太さんに抱きついていた 「寛太さん・・・好きです、大好きです・・・」 気持ちをぶつけて寛太さんに抱きつくと 寛太さんが抱き締め返してくれて しばらく抱き合っていた後、ゆっくり身体を離された。 寛太さんを見ると、さっきの愛しいものを見るような目ではなくなっていて、苦しそうな表情をしていた。 『お前さ、初めての男が俺だからそう勘違いしてるんだよ。まだ若いんだからこれから色んな男に抱かれて色んな恋愛をしたら俺の事好きだなんて勘違いだって気づくよ。・・・・今はそう思ってるだけだよ。俺みたいないい加減な奴じゃなくてお前はもっと自分を大事にしてくれる男を探せ。』 僕は勘違いをしていたようだ。 欲が出てしまった。 最後に好きな人とクリスマスイブと誕生日を過ごせればそれで良かったはずなのに、僕は何を欲張っていたのだろう。 ────ブレスレットって相手を束縛するって意味もあるんやで。寛太さんの心、つなぎ止められたらええのにな・・・ タケルが一緒にブレスレットを作りながら言っていたけど、 やっぱり寛太さんの心は、僕にはつなぎ止めることなんて出来なかった。

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