俺の好きな人。 左手の怪我を心配してばかりだった。治った今も別のことで俺の心配ばかりしてる。 俺は無茶な行動してるのかな。 自分では気がつかないから教えてくれよ。 でもな、困った顔の君に『もう…』とか『知ってる』って怒って言われるのが、俺は結構好きなんだ。 それとな、甘えたい時は俺の膝の上に乗ってくるだろ？あの癖も俺は好きなんだぜ。 君の身体がぐにゃぐにゃになるくらい、甘やかして、ふやかしてあげたくなるんだ。いつか、『もういいから』って君に言われるくらい、構ってやりてぇなって思ってる。 君が笑って過ごせるなら、何でもするよ。 結構ちょろいんだぜ俺って。 俺が酒を飲みすぎた翌日は、俺が寝ているうちに腕の中からするっと抜けて、君は仕事に行ってしまう。寂しいんだぞ。知ってるか？ そのかわり、君が飲みすぎた日は、君の寝顔を見放題だ。口を少し開けて寝る君はかわいい。これを見れるのは俺だけの特権だな。うん。 俺の好きな人。 アパートで一緒に寝ていた布団を、たまに思い出すよ。小さい布団だから二人だと、くっつかないと、はみ出ちゃうんだよな。 俺はずるいからな、いつもわざと布団の真ん中にぐいぐい入って寝てたんだ。君から少しでも俺の近くに寄ってくるのを待っていた。 布団の中で緊張していたのは知ってたよ。 電気を消した真っ暗な部屋で、名前を呼ぶと、君が振り返って俺の腕の中に入ってくるんだ。 そうしたら俺は君を抱きしめて離さない。布団をかけて風邪を引かせないようにって口実だ。 キスをしたのは…まぁ、許せ。 あの頃毎日、夜になったら君にキスが出来るって、俺はそのことしか考えてなかったからな。 不安にさせていないかな。 心配させていないかな。 こっそり見てるんだぜ？ 横顔も後ろ姿も、見れば何となく君が考えてることがわかる。全身で俺に教えてくれてるんだって知ってるんだ。 でもなぁ…見ているのがバレたら気まずいか。かっこ悪りぃだろ？そんなのって。 俺はいつも君からはかっこいいって言われたいからよ。 千輝… 俺は君を好きになってから、わかったことがある。 自分よりも確実に大切な人がいるんだってこと。 やべぇな俺、重症だろ？ end