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御鈴廊下

シャランシャランーー 鈴の音とともに重たく頑丈な鍵が開けられ、その人は入ってきた。 「上さまのおなーりーー」 一斉に顔を下げ通りすぎるのを待ち、位の上の物から順に列にくわわり御鈴廊下(おすずろうか)を渡る。 お目見得(おめみえ)以上の者たちにのみ与えられた名誉ある将軍出迎えの行事である。 そんな場に…オレが並ぶことになるなんて! ・ ・ ここは大奥ー 上質なαである将軍のために作られた子作りの場所、、 普段は閉ざされたその中には御台所(みだいどころ)側室(そくしつ)御中臈(おちゅうろう)の順で位が高いΩが数名、βの使用人たちが数多く配置されていた。 その中でも特筆すべきことのない…一番下の位の御半下(おはした)βのオレがある日突然Ωに転化した ここの外ではあまり大事な扱いをされないΩだがここではΩこそが影の天下であった それはいつものように掃除をしている時に起こった… ・ ・ 「な…なんだ?熱い…」 体が燃えるようにムラムラと熱がせりあがり、(あお)は身悶えていた (欲しい…欲しいっ) 「おなかが…切ない…っ」 苦しさに髪を振り乱した (孕みたい…) むせかえるような強烈なフェロモンを放ち、碧は庭の片隅へと転がり、砂を握った。 その匂いに気がつき2人のβが反応し、走り寄ってきた 「すごいΩの香りだ…めちゃくちゃ誘ってる」 「ヤバ…こいつβのはずじゃ?」 「そんなんよりヒートだろ?これ」 「鎮めてやんなきゃ」 2人は碧の着物を脱がそうとそれぞれ碧の体に手を伸ばした と、その時 「お待ちっ」 廊下から凛とした声を放ち、豪華な着物を着た人物に見つめられ慌てて2人は土下座した 「ひぃーっ御台さま」 「お許しを」 「こいつ転化です!ヒートを起こして」 「あい分かった」 トンと音を立て御台さまと呼ばれた青年は着物を引きずりながら庭へと降りた 「み…御台さま!お召し物がっ」 「問題ない」 体を折り曲げて苦しむ碧の顎を御台は扇子を使い持ち上げた 「顔を見せよ。いい顔をしてる…将軍さま好みの…私の手先となる側室になるやもしれん。この者をこれへ。いまより御台付きのお小姓扱いとする」 堂々言い放ち御台所は、自室へと続く廊下を渡り歩いていった。 その後に続き、御台付きのお中臈たちが碧を抱えていった 碧はただ呆然とされるがままに連れていかれた

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