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御渡り

碧の元へと久々の御渡りがあった。 当初はあれだけ緊張した上さまを待つこの間も碧はこの時には慣れ、ただ静かに到着を待った 「碧さま…上さまの御渡りにございます」 坊主が耳打ちし隣室へと控えたのを見、碧は正座の姿勢のまま頭を下げて両手を前に出し上さまを出迎えた。 いよいよだ…今度こそ 「善仁さま…本日の御渡り、しかと務めさせていただきます」 「よい。まだ日が浅い。無理はするな」 「いえ…碧は善仁さまのお子を早くこの手に抱きとうございます」 「そうか。誠に嬉しき言葉よ。今宵はそなたの顔を見るだけと思うていたが…どうやら気が変わりそうだ」 「善仁さま」 善仁は立ち膝をつき碧を抱き寄せた 「碧…この熱情はいかにして冷ませば良い?」 「嗚呼、善仁さま…。碧を抱いてくださいませ」 熱い胸のうちを碧は善仁にぶつけ、善仁の胸へと頭を擦り寄せた

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