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第1話

 第一にして僕は生活を安直に考えていたと思う。  大学に進学して親元を離れ自分ひとりで生活しだしたとたん、僕は違和感を感じだした。それは何かと言えば、親が入れてくれる金プラス自分がバイトで稼いだ金では生活出来ないんじゃないかと言う理不尽さに気づいてしまったと言う事実からだ。うまいこと暮らしていける奴はもちろんいるだろう。だけど俺の場合、今までが今までだったせいか上手く回ってくれなかった。シュミレーションでは回るはずだった生活が回ってくれない。それに気づきだしたのはゴールデンウィークが終わった頃だった。 「何故だ……」  それなりに僕だって考えた。だがせっかく入ったサークルにだって参加したいし、バイトはやらなきゃならないしで、ちょっとばかりパニックになっていたと思う。何せ学業と仕事を同量にこなして『それが何か?』と平然としていなければならないからだ。回りの皆はそれなりにバイトをこなしながら学業をこなしている。だから僕だって簡単にこなせると思っていたのに……。残念ながら僕にはそれが出来なかったみたいだ。だけどどちらかを止めることなんて出来なくて、バイトを止めると言うことは大学生でいるのを辞めろと言うのも同じことだった。だから僕は必死に考えた。大学生を辞めるか否か。 「せっかく入った大学なんだから……」  やっぱり無事クリアしたいよな……と考えて、より良い方向のバイトはないものかと探しだした。そして行き着いたのが愛人契約だ。 ● 「今日は?」 「食事してお泊りだよ」 「分かった」 「何が食べたい?」 「別に居酒屋でいいよ。ヘタに高級料理店とか行きたくないし」 「そうか。環はいい子だな」 「余分な緊張したくないだけだよ」 「そうか」  月に二度の契約愛人。しかも愛人は男だと言うのを除けば普通の年上の恋人だと思った。 男の名前は勝原直弥/かつばら-なおや/32歳。通販会社の社長をしている男で見た目もけして悪くはないのだが、僕としては出来れば異性がいいし、出来ればするほうがいい。だけど現状相手は同性だし、僕はされる側だ。そして一番駄目なのは、それを快く思ってしまうところだった。されれば反応してしまうところが駄目だと思うし、してと言われればたいていのことは応じてしまうところだった。  食事をして家まで帰ると玄関で服を脱がされる。 「お風呂に入りたいっ……」 「駄目だよ。今日一日かいた汗を堪能させてくれなきゃ」 「ぅ……うん…………」 「いい子だ。環、四つん這いになって猫のポーズ」 「……ぅん…………」  僕は言われるまま、ちょっと戸惑いながら全裸で床の上で猫のポーズをする。相手はそんな僕の格好を間近で楽しみ、そして素肌に触れてくる。 「環はいつもスベスベだよね。それにココは触ればすぐに反応するし……」 「ぅ……んんっ…………」  言いながら股ぐらに手を入れられて、まるで牛の乳搾りでもするかのように股間のモノを握られしごかれ弄ばれた。少し堅くなったところでそのまま待ての姿勢を取らされる。直弥さんは僕に待ての姿勢を取らせながら鼻歌まじりに支度をし出す。 「食べた物は出さないと次のことが出来ないからね」  持ってきたカバンの中から太めの注射器を取り出すと冷蔵庫から牛乳を取り出して吸い取る。つまり今から腹の中を綺麗にする儀式が始まるんだ…と言うのを示している。  あーまたギュルギュルか……。  嫌だけどこれをしないと次に進めないからどうしようもない。違う人は来たらすぐしたいから、そんなことは事前にしておいてくれって言っているのに、この人はここから楽しみたいらしい。 「ちょっと冷たいけど我慢ね」 「……はぃ……」  四つん這いになってる僕の尻肉を開くと湿らせたカット綿で秘所を拭ってくる。それにもビクッとしたけれど、肝心なのはここからだった。冷たい牛乳のたっぷり入った太めの注射器をグイッと挿されると容赦なく注入される。とたんに腹の中が冷えて鳥肌が立ち体がブルブルと震え出す。 「ぅぅぅ……」 「駄目だよ。まだ半分も入ってない。もっと力を抜いて」 「ぅぅぅ…ぅぅ……」  言われるように力を抜こうとするんだけれど、腹の違和感がそれを許してくれない。 「ぁぁぁ……もぅ……勘弁してくださいっ…………」 「駄目だよ。まずは一本ちゃんと入れような」 「ぅぅぅ…………」  しっかりと最後の一滴まで入れられてプラグで栓をされると漏れないように正座をするよう言われる。言われなくてもそうしないとどうしようもない。冷や汗を流しながら正座をするのだが、腹がギュルギュル言って身悶えるしかなかった。 「直弥さんっ……トイレ…………行きたいですっ」 「ちょっと早すぎるよ。もうちょっと我慢しようか」 「ぅぅぅ…………ぅ…………」  必死になって我慢してみるが震えが止まらないしクネクネが止まらない。 「じゃあさ、前しごいて」 「ぇ……?」 「一発出したらトイレ言ってもいいよ」  にっこりしながら言われると泣きたくなる。だけどこの腹のギュルギュル具合は毎度のことながらいつ漏れてしまうかと不安になる。僕は少しでも早くトイレに行きたかったので、相手の望む通りブルブル震えながらも前をしごいてみせた。前をしごきながら後ろを気にする。冷や汗は相変わらずで刻々と限界が近づいてきているのを肌で感じる。 「ぅっ……ぅ……う…………」  必死になっている姿を立ったまま見つめられる。この人は僕のこういう恥ずかしい姿を見るのが好きらしい。だけど僕はそれを構っている場合じゃなくて、床に粗相しないようにするのに賢明になった。 「ぅ……ぅ……ぅぅっ……ぅ」  しごいてしごいてようやくその気になってきた頃に真正面に座り込まれて吸い付くようにキスをされる。 「うううっ……」  僕はそんなことしてる場合じゃないって言うのに許してもらえなくて身震いしながらそれに応える。 「ふ……ぅぅ……ぅ…………」  長い長いキスをされて腹のギュルギュル具合がMAXになった頃、仕方ないな……とばかりにトイレに行くのを許される。 「行っておいで」 「あ……りがとうございますっ!」  這うように身を屈めながらトイレに急ぐ。開放した時の安堵感は半端なかった。でもこれを汚いものが出てこなくなるまで何度も続けられる。最初は冷たい牛乳だけど、次には食塩水が作られて、それをしこたま入れられる。そうしておいてからまたさっきの続きとばかりに射精するまで自分のモノをしごいて見せて、ついでに目の前に差し出された彼のモノをおしゃぶりすることになる。 「しゃぶって」 「は……はぃっ…………」  まだ完全に硬くなっていない彼のモノをおしゃぶりする。左右の手は自分の前後で使っているから必死になって頬張らないといけない。  ちょっと前は僕がまだ慣れていなくて、なかなか相手のモノを勃たせられなかったから、おしおきで小便を浴びるはめになった。 その場でお尻のプラグを抜かれてまだ汚い水が溢れ出てしまって……。偽物の男根でさんざん突かれて射精しまくった。それでも勃起しなかったところをみると、原因は僕じゃないんだろうな……と思うけど口には出来なかった。とにかく満足してもらわないと金には繋がらないからだ。 「ごめんなさい」「すみません」を繰り返し、彼のモノや袋を口に含んでご奉仕した。だけどその日はやっぱり勃ってくれなくて僕は男根を入れられたまま大股開きで縛られてモノを踏みつけられてまた果てた。体の隅々まで彼の指が確かめるように這う。胸の突起を執拗に攻められて股間のモノが大きくなったところで力任せにしごかれて気絶してしまった。それから彼は悪いと思ったのか、力任せに事を進めることはなくなった。  僕は汗だくになりながら彼のモノをおしゃぶりして、相手のOKが出るのを必死になって待った。彼は時計を確認しながら目を細めた。 「僕のモノをゴックンしたら、トイレに行ってもいいよ?」 「ぅぅ」  と言うことは、彼をイかせられなければ先には進めないと言うことだよね? 腹に入れられた量がさっきよりも多いから、そんなに冷たくなくても限界は来ている。猶予なんてない状況で迷いなんてあるはずもない。僕は今までよりもより舌使いを激しくして彼の射精を誘った。レロレロと舌をあちこちに這わせて甘噛みしたり吸ってみたり、時には彼の足に足をすり寄せてみたり。そんな甲斐もってやっと出てくれた精液を飲み干すとトイレに行く許可をもらう。 「精液ありがとうございます。トイレに行かせていただいてもよろしいでしょうか?」 「……いいよ。僕はベッドで待ってるから」 「はい」  これでようやく寝室に移動出来る。僕は脂汗を流しながらトイレへと駆け込み我慢に我慢していたものをすさまじい勢いで排出した。そうしてからウオシュレットでお尻を綺麗にして寝室に急ぐ。ベッドに腰掛けている彼の洋服を丁寧に慎重に脱がして床に座ると次の指示を待つ。  この人は縛るのが好きな人だから、たいていいつも四肢を奪われる。この前は達磨みたいに、ダンゴ虫みたいに丸まったまま縛られて、ひたすらお尻に突っ込まれた。僕は自分の折りたたまれた体に潰されているモノから触られないまま射精をしてシーツを汚した。  今夜は何をどうされるのか……。 「おいで」 「はい」 「横になって」 「はい」  おとなしくベッドの上で仰向けになると左右の手をそれぞれベッドのヘッドにあるポールに括られた。それから同じ場所に左右の足も縛られてモノや尻が宙に浮くような格好になってしまった。 「ぇ……これ…………正解ですか?」 「正解だよ? これから玩具で遊んでから入れるから善がってね?」 「ぁ、はい……」  思わず返事をしてしまったが、この格好から開放されるのはいつなんだろう……と困り果てる。だけどこんな恰好な僕は心とは裏腹にお尻を振っていたのだった。 「ぁ……ぁ……ぁぁっ…………ぁ…………」  四肢をベッドに繋がれたまま剥き出しの秘所に偽物の男根を入れられている。リモコンで振動の強弱をつけられると、どうしようもなく声が出てしまう。彼はそんな僕の善がり声を聞きながらビール片手に楽しんでいた。その間にも僕はモノから汁を垂れ流していて触ってももらえないから腰をくねらせるしかなくて……。 「環。どうして欲しい?」 「もっと奥までっ……! 突いて欲しいっ! 触って前っ……! しごいて欲しいっ……!」 「駄目だよ。そうして欲しかったらもっと腰をくねらせておねだりしなくちゃね」  クスクスと笑いながら喘ぐ僕の滑稽な姿を楽しんでいる。彼は僕のこんなみっともない姿を見るのが大好きだ。出来れば全裸で犬のように首輪をつけて散歩させたいとまで口にしていた位だから……。もしかしたら僕はそう遠くない未来に全裸で公園を散歩させられているかもしれないと思う。そう思うと余計に体が熱くなる。  小一時間こんな行為を続けられてすっかり疲れてしまったんだけど、相手にとってはこれからが本番なわけで……。僕は痺れた手足を擦りながらやっと開放された嬉しさを覚えながら彼を受け入れた。 「ぅ……ぅ…………」  僕は彼の上に跨ってゆっくりと腰を沈めていた。自分の重みで正直辛い。下から見られて太ももを触られて気が紛れるほどに。 「もっと深く」 「はぃ…………」  頑張って深く深くに沈めようと腰を動かす。だけどこれより奥にはもういかなくて、今度は腰をくねらせたり前後させたりして相手を楽しませる。僕のモノは散々偽物の男根で弄ばれた時に何度も果ててしまっていて回復までには時間がかかりそうだった。 「ぁ……」 「舵を取ろうか」  ギュッとモノを握られて右に左にと方向を取られる。それに合わせて僕は無駄に引っ張られたくなくて必死になって腰を動かした。 「ぁ……ぁ……ぁっ…………」 「そう。もっと効率よく動いて僕を樂しませてくれなきゃ……。お金……欲しくないの?」 「……欲しいですっ。欲しいっ…………」  結局僕ひとりじゃどうしようもなくて、こういう人に頼るしかないってことを実感する。みっともない姿を喜んでもらえて、どうしようもない姿に駄目出しを食らう。最初は跨っていたのに最後には後ろから攻められて、入れられながら乳首を嫌と言うほど握られて潰されてヒーヒー喘ぎ声をあげる。 「も……も……もぅ…………」 「許して欲しいとか言わないよね?」 「ぁ…………ぁぁ……ぁ………………」  言いたい言葉を先に言われてしまいどうしようもなくなる。僕は彼のモノをお尻に収めながら彼が満足するように賢明になって腰を動かした。もうどうやって動かしたなんて聞かないで欲しい、覚えてないから。上下左右にピストン運動、ありとあらゆることをして彼の射精を誘う。そしてドクッと中に射精されて始めて「ふっ……」と笑顔になれた。だってこれで終われるから…………。 「ぅぅぅぅぅっ…………ぅ……」 「………………ありがとう……ございますっ…………」  これで今月は彼と会わなくて済む。  どんなに酷いことをされても僕は僕の中で納得していればそれでいいと思っている。 「環、おいで」 「はい」  僕の名前は環紬/タマキ-ツムギ/。たぶん名前の通り一生何かを誰かのために紡いでいかなければならない運命なんだと思う。 「環はいい子だね」 「……はい」 「僕が今出したモノは、僕がいいって言うまで出しちゃ駄目だよ?」 「………………はい」  こんな人生、どう思う? 終わり 20170704 タイトル「僕と三人の愛人 一人目-直弥さん」

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