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「なぁ、相馬、お前にこれやるよ」 そういって渡されたのは巾着のような袋。 「何ですか……これ?」 「まぁ、お守りみてぇなモンだ。但し中身はどうしても不安になった時に見ろよ」 そうしなきゃ意味がねぇからよ とニヤリと意味深に笑う神奈月さん。 何だか雰囲気的に これ以上質問するのも何だったから 何も言わないことにした。 「じゃあ相馬。ちょい出掛ける」 「また仕事ですか?」 「ん?まぁ、そんなところかな」 あれから1ヶ月後 神無月さんは帰ってこない。 元からそんなに家にくる人じゃなかったから 気にしなかったけれど 二週間ぐらいたったあたりから不安で仕方ない。 今、何をしているのだろう? 今、誰といるのだろう? 今、生きているだろうか? ここ数日はベットに横たわって 泣く日が多くなった。 まさか、捨てられた? そんな不安が泣いても泣いても拭いきれない。 その時、ふとある事を思いだした。 俺は押し入れの一番端っこに ホコリをかぶっていた巾着を取出し 中身を開けた。 巾着を開けると、中には一枚の紙が入っている。 「東京タワーにこい」 何故東京タワーなのかとか 何故帰ってこないのだとか そうゆう理由は頭から消し去った。 神無月さんに会いたい。 俺はその一心で家を飛び出し走った。 東京タワーにつくと、既に神無月さんの姿が……。 「神無月さん!!!!」 「おぉ、相馬。中々お前耐え性だから、てっきり袋のこと忘れてると思ったよ」 そう言ってからかうように笑ってみせると 俺を抱き締める。 久しぶりの神無月さんのぬくもり ずっと感じていたかったけど、彼はすぐに離れた。 「実は、お前にどうしても言っておきたい事があってな」 珍しく真剣な顔の神無月さんに ついつい身構えてしまう。   「相馬……こうみえてもすげぇ寂しがりやでよ。誰かが側に居てほしいときがあるんだよ、分かるか?」 「分かり……ます」 「だからよ。側に居てくれねぇか、これからの人生俺と一緒に」 それって……つまりと戸惑う俺を 優しく抱きしめ耳元で囁いた。 「一緒にならねぇ?」 涙が出た、信じられない。 あの自由奔放な神無月さんが?  俺なんかと。 「ふ………っ!神無月さん…………っ!」 泣きじゃぐる俺の髪を優しく撫でる。  「なぁ、相馬………返事は?」 不安そうな顔で問い掛ける………。 可愛いとか思ってしまったのは秘密。  「いいに決まってんだろ……………っ!」 そしたら涙を拭っている手をとり 彼はその手を強く握った。  「もう離さねぇからな」 その時の神無月さんの表情は 酷く印象的で今でも覚えている。  優しく、そしてどこか少年のような無邪気さを思わせる笑顔だった。  (この手を離さないで。いや、離したがっても離さねぇ。だって俺が守っていくんだから)

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