16 / 21
不良青年と生徒会長
校門の前では慌ただしく生徒会のメンバーが制服の乱れ、
髪型の乱れを注意する。
ここ……私立五月晴 高校は
生徒会が優秀なことで有名で、
そのおかげで学校で犯行する奴……
校則を守らない奴がめっきり少ない。
しかしこの安達相馬は学ランのボタンを閉めず
だらしなく腰パンし
髪が長いなどかなりの不良っぷりで
生徒会は日々彼に目を付けている。
その中でも生徒会長の|孝則《たかのり》は特に相馬を構い
見つける度に厳重注意を呼び掛けていた。
「相馬……髪、切ってこいって言いましたよね……?」
後、学ランタバコ臭いっと
彼は手に持っていたボードで相馬の頭を叩く。
「いってぇな!孝則!……別にいいだろ、ほっといてくれよ!」
「そーいうわけにはいかないんですよ。……この学校の規則ですから。この学校に入ったら必ず規則は守ってもらいます。嫌だったら……そうですね……少しばかり……体罰も考えないといけませんね」
孝則はそう言うと彼の学ランのボタンを閉めてやる。
「……たくっ!このクソ会長!」
「何ですか?野良犬」
そう皮肉ったセリフを相馬に向けた彼は
そのまま、頬に指を滑らせた。
「な、なんだよ……!」
気色悪いことすんな!と手を叩いても
孝則は頬から手を離すことなく、顔を近付ける。
「そんな、悪い口はあんまり度が過ぎると塞ぎますよ。それとクソ会長ではありません……孝則会長です」
「うるせぇな!てめぇだって俺のこと……んっ!?」
反論しようとしたセリフが塞がれる。
それは手なんてそんな物ではなくて……唇で唇を塞がれた。
相馬はその時大きなショックを抱く。
そう………この理不尽なキスこそ、相馬のファーストキス。
不良のくせに、童貞で交際経験のない相馬は
初めてが同性だという事実に泣きそうになった。
そうしている内に孝則の唇は相馬から離れ
ペロッと唇を舌なめずりする。
「ほら……言ったじゃないですか……塞ぐって」
彼はそう言うとニヤッと怪しい笑みを浮かべ、髪を撫でた。
「……てめぇ…!!ぶっ殺す……!」
いや、寧ろ叩き殺す!と相馬は
怒りオーラを彼に向ける。
「おやおや、初めてですか。こりゃあ、失敬」
不良なのに……経験ないんですね?と
孝則はニコッと皮肉たっぷりに笑いかけた。
「あ”あ”!ぜってぇ許さねぇ!!」
「相変わらずですねー、相馬は」
ともだちにシェアしよう!