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不良青年と生徒会長

校門の前では慌ただしく生徒会のメンバーが制服の乱れ、 髪型の乱れを注意する。 ここ……私立五月晴(さつきばれ)高校は 生徒会が優秀なことで有名で、 そのおかげで学校で犯行する奴…… 校則を守らない奴がめっきり少ない。 しかしこの安達相馬は学ランのボタンを閉めず だらしなく腰パンし 髪が長いなどかなりの不良っぷりで 生徒会は日々彼に目を付けている。 その中でも生徒会長の|孝則《たかのり》は特に相馬を構い 見つける度に厳重注意を呼び掛けていた。 「相馬……髪、切ってこいって言いましたよね……?」 後、学ランタバコ臭いっと 彼は手に持っていたボードで相馬の頭を叩く。 「いってぇな!孝則!……別にいいだろ、ほっといてくれよ!」 「そーいうわけにはいかないんですよ。……この学校の規則ですから。この学校に入ったら必ず規則は守ってもらいます。嫌だったら……そうですね……少しばかり……体罰も考えないといけませんね」 孝則はそう言うと彼の学ランのボタンを閉めてやる。 「……たくっ!このクソ会長!」 「何ですか?野良犬」 そう皮肉ったセリフを相馬に向けた彼は そのまま、頬に指を滑らせた。 「な、なんだよ……!」 気色悪いことすんな!と手を叩いても 孝則は頬から手を離すことなく、顔を近付ける。 「そんな、悪い口はあんまり度が過ぎると塞ぎますよ。それとクソ会長ではありません……孝則会長です」 「うるせぇな!てめぇだって俺のこと……んっ!?」 反論しようとしたセリフが塞がれる。  それは手なんてそんな物ではなくて……唇で唇を塞がれた。 相馬はその時大きなショックを抱く。 そう………この理不尽なキスこそ、相馬のファーストキス。  不良のくせに、童貞で交際経験のない相馬は 初めてが同性だという事実に泣きそうになった。  そうしている内に孝則の唇は相馬から離れ ペロッと唇を舌なめずりする。 「ほら……言ったじゃないですか……塞ぐって」 彼はそう言うとニヤッと怪しい笑みを浮かべ、髪を撫でた。  「……てめぇ…!!ぶっ殺す……!」 いや、寧ろ叩き殺す!と相馬は 怒りオーラを彼に向ける。  「おやおや、初めてですか。こりゃあ、失敬」 不良なのに……経験ないんですね?と 孝則はニコッと皮肉たっぷりに笑いかけた。 「あ”あ”!ぜってぇ許さねぇ!!」 「相変わらずですねー、相馬は」

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