11 / 54

10

side. Akihito ここの所、水島に付き合って、 ちょくちょく授業にも出るようになった。 とは言っても、サボる時はサボってたけど…。 6限とかマジだりぃとか思いつつも。 放課後はまた一緒なんだからと、とりあえず授業は出るつもりでいたのに────… 「クソッ…!」 ガシャンと蹴り飛ばしたフェンスが、 音を軋ませヘコむ。 つい今しがた、廊下で佐藤に捕まった。 『もうやめなよ。』 何も知らないクセに、 勝手にズカズカと俺の領域に入ってきて────… ウンザリする… 全てを見透かしたみてぇな簡素な助言。 曖昧な言葉のソレは、 俺の痛いとこを的確に突いてきやがった。 解ってる、佐藤は悪くない。 あの時の水島と同じ…俺なんかの為に、 馬鹿みてぇに必死になってくれてるのに。 また俺はその手を振り払い、傷付けてしまった。 (なんで、だよ…) 俺を好きだと言ったアイツ。 俺の代わりに涙したアイツ。 自分が一番辛いクセに… どうしてそこまで尽くそうとするのか。 「……あ」 そうか、同じなんだ。 好きなだけじゃ、傍にはいられない。 片道の想いは、決して報われやしない。 確定した悲恋。 答えが最初から決まっているのなら… (せめて、相手の幸せを…か) 俺が無理して、 水島の傍にいる事を知っている佐藤は… そんなオレを見てる事が、耐えられなかったんだ。 「お前だって、それでいいのかよっ…」 俺なら耐えらんねぇ…。 どんなに足掻いても、傍にいてぇだろ。 欲しくて欲しくて堪らないなら────── (それって…) なんて、自己満足なんだろう。 水島は芝崎への想いと戦っているってのに、俺は… 「うざ…」 俺が傍にいる事で、 水島は更に芝崎と重ね、 縛られていく。 今はまだいい、 けど明日は?明後日は? 忘れられる訳がない。 俺にはそれが、 当たり前に出来ると思ってたけど───… 「無理じゃねぇか、そんなの…。」 フェンスを背にしゃがみ込み、頭を抱える。 (なぁ、佐藤…) お前も、こんな気持ちだったんだな…。 一途な想いが、必ずしも相手を癒すとは限らない。 ましてや俺が、水島に対してずっと重荷になっちまってたなんて。 (支えるつもり、だったんだがな…。) それこそ独りよがり。 このままいけば俺も水島も、 ただ自爆していくだけじゃねぇか。 「佐藤…」 振り払った手を見つめる。 アイツを傷付けたその手は、まだ感触が残っているかのように、熱い。 目を閉じれば浮かんできた、 チビで痩せ細った捨て犬みたいなアイツ。 俺よりちっこくて弱えクセに、 中身は山みてぇにデカくて強いんだ…。 「すまねぇ、な…」 立ち上がり、呟く。 全部に片が付いたら、 今度はアイツの前で言おう。 そう、決意して。 俺は屋上を後にした。

ともだちにシェアしよう!