13 / 54

12

「もうすぐ明けるのかなぁ…。」 屋上には着いたものの、生憎雨が降っていて。 仕方なく扉を入ってすぐの軒下へと腰を下ろす。 どうして上原君が僕を呼び出したりしたのか…。 それだけはさっぱり分からなくて、 ちょっぴり不安が募った。 「…………遅いなぁ…。」 かれこれ1時間くらい待ってると思う。 もしかしたらそれ以上…。 こうもひとり待ちぼうけしてると、弱い僕の心はどんどん悪い方へと偏ってしまうから…しんどい。 (そんな事ないと思うけど、な…。) 上原君の表情からは、何か吹っ切れた感じが見て取れたから。 「大丈夫。うん、大丈夫…」 「何が大丈夫なんだ?」 「ぎゃ───…!!?」 俯いたまま、ブツブツと自分の世界に浸っていたら。 頭上から声がかかり、思わず悲鳴を上げた僕。 「んだよ、ヘンなヤツ。」 呆れたようにそう言って、 上原君は隣りにどっかりと座り込んだ。 あ、近いかも…。 「……………」 話があるから呼び出したんだろうけど。 上原君は煙草を吸い始めてしまい、一向に話す気配はない。 かと言って自分から切り出す勇気もないから…黙ってるしかないし。 心臓に悪いです、この距離…。 「やんだな、雨。」 「ふぇっ…!?」 思わず顔を空に向けたら、灰色の雲間から光が差し込んでいて。小降りだった雨は、いつの間にかその姿を消してしまっていた。 「来週辺り、梅雨明けるってよ。」 「あっ、そうなんだ…。」 なんだろ…普通に会話とか、擽ったいなぁ。 けど今はまったりしてる場合じゃ────… 「芝崎と話した。」 「え……ええっ!?」 今日の上原君はヘンだ。 さっきからビックリさせる事ばかりで、僕の心臓をガンガン揺さぶってくれるから… 振り回される僕は、何気に息をするのも大変だ。 「悪かったな…」 「上原君…?」 「効いたよ、お前のコトバ。」 上原君が言うには… 昨日あれから色々と反省したんだそうで。 ここでひとり考えて、僕に言われて…やっと気付いたんだという。 「アイツの傍で支えてるつもりで…結局自分の気持ち押し付けて、追い詰めてただけだったんだなって、さ。自分がこんな不器用だったのかよって─────」 マジ情けねぇよな、と照れ臭そうに苦笑する上原君。 「芝崎君とは、なん…て?」 今なら聞いてもいい気がして、 僕は遠慮がちに問いかける。 目線だけで見上げたら、バッチリ上原君のそれとぶつかり。ふわりと微笑まれてしまった。 その不意打ち、格好良すぎてヤバイです…

ともだちにシェアしよう!