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「もうすぐ明けるのかなぁ…。」
屋上には着いたものの、生憎雨が降っていて。
仕方なく扉を入ってすぐの軒下へと腰を下ろす。
どうして上原君が僕を呼び出したりしたのか…。
それだけはさっぱり分からなくて、
ちょっぴり不安が募った。
「…………遅いなぁ…。」
かれこれ1時間くらい待ってると思う。
もしかしたらそれ以上…。
こうもひとり待ちぼうけしてると、弱い僕の心はどんどん悪い方へと偏ってしまうから…しんどい。
(そんな事ないと思うけど、な…。)
上原君の表情からは、何か吹っ切れた感じが見て取れたから。
「大丈夫。うん、大丈夫…」
「何が大丈夫なんだ?」
「ぎゃ───…!!?」
俯いたまま、ブツブツと自分の世界に浸っていたら。
頭上から声がかかり、思わず悲鳴を上げた僕。
「んだよ、ヘンなヤツ。」
呆れたようにそう言って、
上原君は隣りにどっかりと座り込んだ。
あ、近いかも…。
「……………」
話があるから呼び出したんだろうけど。
上原君は煙草を吸い始めてしまい、一向に話す気配はない。
かと言って自分から切り出す勇気もないから…黙ってるしかないし。
心臓に悪いです、この距離…。
「やんだな、雨。」
「ふぇっ…!?」
思わず顔を空に向けたら、灰色の雲間から光が差し込んでいて。小降りだった雨は、いつの間にかその姿を消してしまっていた。
「来週辺り、梅雨明けるってよ。」
「あっ、そうなんだ…。」
なんだろ…普通に会話とか、擽ったいなぁ。
けど今はまったりしてる場合じゃ────…
「芝崎と話した。」
「え……ええっ!?」
今日の上原君はヘンだ。
さっきからビックリさせる事ばかりで、僕の心臓をガンガン揺さぶってくれるから…
振り回される僕は、何気に息をするのも大変だ。
「悪かったな…」
「上原君…?」
「効いたよ、お前のコトバ。」
上原君が言うには…
昨日あれから色々と反省したんだそうで。
ここでひとり考えて、僕に言われて…やっと気付いたんだという。
「アイツの傍で支えてるつもりで…結局自分の気持ち押し付けて、追い詰めてただけだったんだなって、さ。自分がこんな不器用だったのかよって─────」
マジ情けねぇよな、と照れ臭そうに苦笑する上原君。
「芝崎君とは、なん…て?」
今なら聞いてもいい気がして、
僕は遠慮がちに問いかける。
目線だけで見上げたら、バッチリ上原君のそれとぶつかり。ふわりと微笑まれてしまった。
その不意打ち、格好良すぎてヤバイです…
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