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side. Akihito 「クソッ……!」 ガンッと机を蹴り飛ばしてみても、 気分が晴れる事などなく。 八つ当たりだと解っていても、 静まり返るクラスメイトにすら、イラついてくる。 「どうした、上原…?」 不機嫌極まりない俺から、当たり前のように距離を取る生徒達に逆らい。 淡々とした口調の水島だけが、心配して声を掛けてくる。 「別に…」 素っ気なく返しても、水島が立ち去る気配は無く… 何か考え事をするかのように、暫く沈黙した後、 ゆっくりとまた口を開いた。 「会いに行ったらどうだ?」 思わず顔を見上げれば、 表情ひとつ変えない水島の目とぶつかる。 「気になるんだろう?」 そう、意味深な台詞でふわりと笑ってみせた水島に、俺は眉を顰めた。 目の前のコイツは、どこか落ち着き払っていて。 俺と保の事も、ある程度は把握しているってのもあるんだろうが。 理由はそれだけじゃなく… どうやら夏休みの間に、色々と先を越されてしまったみてぇだ。 (芝崎のおかげ、か…。) 人間吹っ切れると、ここまで変われるもんなんだなと。思わず苦笑し、溜め息を吐く。 「行くのか?」 「ああ。」 授業はとか、ヤボなツッコミはなく。 立ち上がり早々と背を向けた俺に向かって、「頑張れよ」と声を掛ける水島に。 俺は振り返らず、 片手だけで答えて教室を後にした。 ピンポーン─────… 「は~い。」 呼び鈴を鳴らせば、 躊躇いもなく普通に返事して扉を開けた保。 が…俺を認めた途端、あからさま青ざめてしまい。 すぐにドアを閉めよう────…としやがったから。 すかさず足を挟んで、それを阻止してやった。 「あっ…」 力で保が俺に敵うわけもなく、あっさり片手でドアをこじ開ければ。 気まずそうに目を逸らし、奥へと逃げて行くから… 咄嗟に手を掴み壁際へと仕方なく追い込んだ。 「保…」 名を呼ぶと、ビクビク身体を震わす保。 そんなあからさま態度に思わず舌打ちすれば、 すぐ泣きそうな顔しやがるし。 クソッ… 「話が、あんだよ…」 怯えないよう、なるべく感情を抑え告げれば。 保は戸惑いながらも、なんとか俺の方へと顔を向けてくれた。 「……………」 「……………」 保の部屋のパイプベッドを椅子代わりに並んで座る。 いつもより少し距離を感じるのは… 気の所為なんかじゃ、ないんだろう。 イラついても仕方ない。 悪いのは全部俺、なんだから… そう自分言い聞かせて。 俺はこの微妙な空気を払うべく、重たい口を開いた。

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