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side.Tamotsu 「悪ぃな、余裕なくてよ…」 「ううん、平気だよ…」 いつかみたいに、キミに背負われて歩く帰り道。 ちょっと気も緩んで、今は甘えるように… その首へと擦り寄ってみた。 ずっとこうしてたい… 「昨日はゴメンな…ひとりにしちまって…」 「いーよ。ちょっと、寂しかったけど…」 「…悪かったって……」 このくらいのイジワルならしてもいいよね? 「上原君…」 「ん…」 あっと言う間に家に着いてしまって。 上原君の好意に甘え、部屋まで運んで貰ったけど…。 ホントはまだ帰って欲しくないから。 ベッドに並んで座ったまま、物欲しげに上原君のシャツを引いてみる。 そのまま、触れるだけのキスをどちらからとなく仕掛けて。うっとりとまた、深まっていくソレに。 離れるのが名残惜しくて、 もっともっとって、視線だけでせがんだら… 不意に上原君が、ぽつりと本音を零した。 「はぁ…ヤベェな。離れたくねぇとか、よ…」 ″ずっとこうしていたい″ 僕だけじゃない、キミからも欲張りになってくれるんだと…夢のような彼の発言が、あまりに嬉しくって。 僕も怖ず怖ずと口を開く。 「あの、ねっ…」 「ん?」 きゅっと上原君の制服を握り締め、火照る顔を隠すように俯きながら。 「今夜ね、お母さん…夜勤だから。そのっ、もし良かったら…」 …泊まってかない?────そう申し出た瞬間、 僕は押し倒されてしまった。 「いいのか?んなコト言って。知らねぇぞ、どうなっても…」 ギラついた眼でうっとりと、 僕の身も心も全て、捕らえてくるから。 「いいよ…だって─────」 キミになら、何されたって構わないんだから。 片道だった想いが一本に繋がって。 僕の独りよがりな恋心にキミが応え、 自らも求めてくれたから… さっきまであんなに激しく抱かれて。 もう立てないくらい、ボロボロな身体だったけど。 「優しくなんてする余裕、ねぇからな…?」 「うん…僕だって我慢できないもん…」 ふたつ重ね、ひとつになって。 何度も何度も身を焦がし、本能に身を委ねたなら… 欲するがまま、互いを求め合った。 ────愛してる ─────うん、愛してる。 2010年7月14日第二部・完結。 2022年某日・加筆修正。 祷治 次ページにあとがきならぬ、なかがき。

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