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第8話

「やっ…だぁ……抜いてぇ…っ」  明の懇願を鼻で笑いながら指を抜き差しし始めると明の声の中に再び嗚咽(おえつ)が混じり始めた。彼の胎内は少しずつローションが浸透しているのか、最初よりもだいぶ滑りがよくなってきている。 「くっ…あ、はっ…あぁ…ひっぐ……んんぅ」  明が漏らす嗚咽とも悲鳴とも言えない声に、少しずつ艶やかな色が混ざり始めていることに俺は気づいていた。明が感じているのが苦しみだけではないことを裏付けるかのように、彼の内壁もだんだんと俺の指にまとわりつき始めている。 「気持ちいいなら気持ちいいってちゃんと言えよ」 「あっ…わかんなっ……ああッ――……!?」  俺の指の動きに合わせて明の身体が強く跳ねる瞬間があった。俺は明の声色が変わった付近を指の腹でゆっくり押し上げながら、彼の前立腺(イイトコロ)を探る。 「あっ…⁉ そこ……やだぁ――…っ!!」 「ここか」  どうやらそこを見つけたらしい。腹側の少し奥にあるそこを執拗に押し上げてやると明の腰がびくんと強く跳ねた。  明の下腹部を見れば、いつの間にか彼のペニスは緩やかに勃ち上がりはじめ、その鈴口からはかすかに先走りが滲み始めている。 「明、分かるか? お前勃ってんぞ」 「っ――…⁉ 嘘っ……なんでぇ…っ」  明は信じられないように目を見開くと、慌てて首を起こして自分が勃起しているのを確認した。途端に明の顔がぐしゃぐしゃに歪む。 「違うっ!これっ……ちがっ…あぁ――…!!」  何かの間違いだと狂ったように頭を振る明を尻目に、俺は挿入する指を一本増やした。ローションを追加して内壁に十分に潤いを与えたからか、二本目はすんなりと入っていった。 「あうっ…ううっ……あっ、ひぃ…っ」 「気持ちいよなぁ、明? お前のナカ、すごく嬉しそうにひくひくしてるもんな?」 「やぁっ……言わなっ、でぇ……っ、んんぅ!」  明の前立腺を撫でさすってやるだけで彼は甘い嬌声を上げて先走りをどんどん滲ませた。彼は目の前の刺激を追うのに精いっぱいで、ナカを蹂躙(じゅうりん)する指が三本に増やされたことにも気づいていないようだった。  打てば響くように反応する明に気を良くした俺はスラックスの根元を(くつろ)げて怒張した自分の昂ぶりを取り出す。明のナカに挿入された指をばらけるように動かしながら空いている手で明に見せつけるように自分のペニスをしごき上げた。 「明、見えるか?お前のえっろい姿見てこんなんなっちまった」 「あ、あぁっ、やだぁ…そんなの入らな…っ」  俺の欲望の化身を目の当たりにした明は顔面蒼白になり、自由にならない腕をめちゃくちゃに動かした。明の怯え切った瞳は捕食獣に追い詰められた小動物のように不安げに揺れており、俺の下腹がさらにずくりと疼く。 「女にもそう言われたか? だぁいじょうぶだよ。力抜いてろ」 「臣っ! 無理っ、ほんとに無理ぃ…あ、ああっ……も、誰かっ、だれ、かぁ…助け…っ!」  パニックになった明は家に誰もいないとわかっているにも関わらず、ぼろぼろと涙を零しながら必死に助けを乞うていた。  ――かわいそうな明。俺が助けられるなら助けてやりたい。  泣き叫ぶ明を見て、脳内の片隅でそう思った。この事態を引き起こしているのはほかならぬ自分であるというのに、だ。  だがここにきて明を救済するなどという理性はもう俺の中にはひとかけらも残っていなかった。本能の任せるままに、ひくつく蕾にペニスの先端をあてがうとゆっくりと明の中に侵入を試みた。 「や、ぁ…っ、ああああアアアァァァ――……!!」

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