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Growing up ①
リーラ、ネロ、アルの三人と王宮で生活を共にしてから随分と長い年月が経った。
この国の水問題も解決し、今では隣国の水不足な国へ、水の輸出も始まり、更には水以外の作物の輸出も行っている。
水が豊富な国で作られた作物は評判が良く、かなり遠くの国からも交渉がある程だった。
ネロとアルの力を貸り、リーラに支えてもらいながら国を大きくすることが出来、国民も皆、豊かに生活しているとランディは感じている。
また、ランディの王としての威厳ある風格は圧巻であり、ますます男っぷりを上げていた。
「さてと…じゃあ、今日は村に行って準備を手伝ってきます。泊まってくるから帰りは明日になりますね」
明日から新しい年になる。
新年の始まりを祝う祭りが国全体で開催されることになっていた。
リーラが以前暮らしていた小さな村も祭りがあり、その準備を手伝うためにリーラは村に出向くと言っている。
今年最後の日を、二人が離ればなれになってしまうのは寂しい。それを知っていたから昨日はリーラと久しぶりに離宮の湯浴みで睦み合った。いつも以上に何度もランディはリーラを抱いた。
リーラが王妃になってから何年も経っているが、今でも激しく求めてしまう。相変わらずリーラには翻弄されている。だから湯浴みの中でも、ベッドの上でも何度も求めてしまうのだ。
「うーん、リーラ離したくない…」
「もう…一日だけですから。すぐに戻ってくるから、だから、んっっん…」
抱きしめて深いキスをしてしまった。こうなるとまたリーラを求め、身体を繋ぐ行為を始めてしまいそうな自分がいるのをランディは知っている。
「ダメ、ランディ!みんな待ってるんですから。ほら」
リーラにぎゅーっと手で押されて、無理矢理身体を離されてしまった。
「わかった。戻ってきたら新年になるし、何日か休暇を取って一日中離宮に籠もろうな。ベッドの上で過ごそう」
わかりましたと言い、頷くリーラの顔は真っ赤になっている。とてもかわいらしい。
いつになっても愛らしい我が王妃だ。
そして予定通り、リーラは侍女や御付きの者を引き連れて村に行ってしまった。
◇ ◇
その日の午後、ネロとアルが御付きと共にランディの執務室を訪ねてきた。
「陛下、ご相談がございます」
ネロとアルが最敬礼をし、口を開いた。
二人はあと数年で成人になる。
今はまだ教育中の身であるが、水や国の問題などの議会は二人に出てもらっている。いい勉強が出来ており、二人は大いなる刺激を受けていると、ランディは大臣から報告をもらっていた。
アルは頭脳明晰で宰相のクリオスの下で学んでいる。新たな国と交渉の場にもアルを連れて行ったと聞いていた。
ネロは騎士団長のレオンと共に騎士として訓練に参加している。身体能力に優れており最近は軍事遠征にも参加していた。
大きくなったなと、ランディは二人を見つめた。ランディランディと、二人がまとわりついていた頃が懐かしい。
二人共、美丈夫に育っているため、女の子から熱い声がかかっているとクリオスとレオンが言っていた。
「相談とは何だ」
「はい。本日この後、是非確認して頂きたいことがございます」
二人は国王陛下であるランディに跪き、そう言った。
「ああ、他の者は下がっていいぞ。二人には俺が話を聞くから」
そう言いランディは御付きの者を下がらせ、部屋に二人だけを残した。
この部屋には、ランディとネロ、アルの三人だけとなる。
「で?なんだよ、相談って」
少し小さな声になりランディは二人に向き合い聞いた。
御付きがいなくなった途端、二人は姿勢を崩してランディの机に腰掛けている。
「今日さ、リーラは村に行ったじゃん。だから今夜、街に連れてってよ」
「リーラ今日泊まりでしょ?だからちょっと遅くなってもわかんないじゃん」
だと思った…。
仰々しく御付きを引き連れて、相談に来たから何かあるとランディは思っていた。
「バレたら俺がリーラに怒られるだろ。だから嫌だ」
まだ小声でランディは二人に言う。コソコソとしてるなとは思うが、他に聞かれたらあまりよろしくない。
「バレないよ。つうか、バレたっていいじゃん。今日の夜は、街で新年の祭りの前夜祭するんだって。それに行きたいんだよ」
「前夜祭のパトロールとか言ってさ、連れてってよ。ランディならそう言えるじゃん。だからね、今年最後のお願い、僕たちを連れてって」
「えーっ…気が進まない。年が明けたら祭りに行けるだろ?リーラと俺の四人で行く約束してたじゃないか。何で今日なんだよ。全く、お前ら悪知恵働くな…」
ランディが渋るので二人は膨れっ面になっている。
「ハメ外せないじゃん。リーラと一緒だとさ、女の子とも話出来ないし」
「僕たちのこと待ってるっていう女の子たくさん来るんだって」
思春期の彼らの気持ちはわかる。女の子も来るとわかって、ソワソワしているんだろう。
リーラに伝えていないから、黙って連れて行ったと知れたら怒られる。だけど、二人の気持ちも痛いほどわかる。
「うーむ…仕方ない…クリオスとレオンを呼べ。二人にも一緒に来てもらう」
「やった!もう二人には伝えてあるよ。ランディがいいって言ったら教えろってレオンに言われてる」
「ありがとう、ランディ!よかった。僕はランディからOKもらったらクリオスに知らせることにしてあるんだ」
「お前らな…」
もう子供ではないので、先手を打ってくる。思春期の子を持つ親の話を是非聞きたいとランディは思っていた。
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