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「木月……」 「ん?」 名前を呼んだは良いが、「どうした?」と顔を覗き込んできた木月に何て言ったら良いかも分からず、迷った末に縋るように抱きつく腕に力を込めた。 「…………なに、甘えたいの?」 顔は見えないけれど、木月がそう言って微かに笑ったのが分かった。 そして俺が望んだようにぎゅっと抱きしめてくれた。 「…………………。」 静かな部屋に自分の心臓の音だけがドクドクと響く。 気持ち良さにぼんやりしながらしばらくそのままでいると木月が「一ノ瀬」と俺の名前を呼んだ。 肩に乗せてた顔をあげると、俺に何か言わせる隙も与えず木月の唇が俺の唇に重なった。

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