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第34話

「じゃぁ大根と白菜を貰おうかな」  常は礼儀正しい言葉使いをする雪也も、同年代の蒼相手には少し砕ける。それが嬉しいのか、蒼はいつもの笑みをさらに深めて、一番良い出来の大根と白菜を雪也に渡した。 「じゃぁ、また来るよ。親父さんにもよろしく」 「うん! またとびっきりの野菜を用意して待ってるよ~。でも雪ちゃんはもうちょっとお肉を食べた方が良いと思うけどね!」  よくこの町の人――特にご婦人に言われる小言を蒼にもチクリと言われて、雪也はヒョイと肩をすくめる。また、と軽く手をあげれば、蒼もまたね~と手を振ってくれた。  さて、この大根と白菜に合うものを手に入れなければ。できれば豆腐と、それから肉もあった方が紫呉は喜ぶだろう。  そんなことをつらつらと考えて、雪也は大根と白菜を抱えたまま足取りも軽く肉屋へと向かった。

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