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第65話

「感謝するのは良い事だし、確かに雪也は美しいけど、感謝のあまり拝んだって雪也はビックリするだけだし背負いきれないよ。ほら、おかゆが出来たからお食べ」  周の言葉の意図がわからず首を傾げるばかりだった雪也に、盆を手に戻ってきた優が苦笑する。そしてゆっくりと周を抱き起こした。 「あ、手伝います」  キョトンとして固まっていた雪也がハッと我に返り、優が持ってきた盆の上にある粥を椀に掬った。もうもうと湯気をたたせる粥をふぅふぅと冷まし、少量を掬ってレンゲを周の口元に近づける。優の言葉や動きに瞬きを繰り返していた周は視線を彷徨わせていたが、小さくひとつ息をつくと口を開いて粥を含んだ。そんな周に優しい笑みを浮かべて、雪也は再びレンゲで粥を掬いながら言う。 「菩薩とかはよくわからないけど、とりあえず今は傷を治すことだけを考えて。これからのことは、元気になったら考えたら良い。少なくともこの庵の中は周の味方しかいないから、安心して」  怖いものは何もない。この庵の中であれば雪也が守ってやることができる。大丈夫だと微笑む雪也を眩しそうに見つめて、周は差し出された粥を口に含んだ。

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