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第124話

 土の塊がこびりついた毛を綺麗に切り揃え、水を浴びたサクラは可愛い犬にしか見えないが、それでももしかしたらと警戒する由弦を安心させるために雪也は余った布地でとても小さな甚平のような衣を縫った。それをサクラに着せてやれば白と黒のまだら模様が衣の下に隠れる。自分の衣にニヤリと笑うサクラを抱き上げて、雪也は由弦と周と一緒に買い物へ出かけた。 「でも、本当に大丈夫か?」  雪也の隣で歩きながらもチラチラとサクラに視線を向ける由弦に、大丈夫だからと雪也は微笑みながら頷く。そんな二人を無言で眺めながら、周は優にもらったカゴを抱えて歩いている。 「とりあえず、野菜を買いたいから蒼の所へ行こうか」  なんでもない事のように言う雪也に周は彼が考えていることを知り、コクリと頷く。蒼は年若いが親子で長く町で野菜を売っており、商売柄町の人たちと関りも深い。彼に由弦とサクラを会わせれば、良い意味で噂は広がるだろう。  腕の中でジッとしながら辺りをキョロキョロ見渡すサクラに賢い賢いと頭を撫でながら、雪也は友人の姿を見て近づく。その後ろを周は淡々と、由弦はどこか警戒しながら歩いた。

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