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第141話

「さて、何があったかよくわからんが、あの子達に何か用か? 話があるというのならば、私が聞こう。流石に刀を振り回そうとしている者の前にあの子達を立たせるほど私も鬼畜ではない」  さぁ、何用か、と目を細める弥生に何を見たのか、あるいは後ろに控える紫呉の槍や優の得体のしれぬ笑みに恐れを抱いたのか、男は傍目にもわかるほどにガタガタと震え、足をも連れさせながら立ち上がると何も言わずに町人達を押しのけて走り去っていった。 「なんだ、何も言わずに立ち去るなど面白くもない」 「いや面白さを求めんなよ」  つまらないとばかりに小さく息をつく弥生に、思わず由弦はボソリと呟く。それはとても小さなものであったはずなのに、弥生がクルリと振り返ったのを見て、由弦はビクリと肩を震わせた。無意識のうちにサクラを強く抱きしめるが、当のサクラはバーカと言わんばかりに冷めた目をして欠伸を零している。  ニヤリと笑う弥生から逃れるように身を縮め雪也の背に隠れれば、雪也は小さく笑い、紫呉は大笑いした。

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