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第146話

「さて、私は説教は嫌いだからな。そろそろ庵に帰ろう。美味そうな鶏肉が手に入ったんだが、周は今日何を作るつもりだったんだ?」  これ以上雪也を責めるのは可哀そうだと、弥生はさっさと話しを終わらせて周の背を撫でる。顔を上げた周に、弥生はわかっているとひとつ頷いて頭をポンポンと撫でた。  周が雪也の静止も聞かずにすべてを話したのは、弥生ならば雪也を守ってくれると知っているからだ。話したことで雪也が怒られたと周は気にしているのだろうが、心配したがゆえのことだと弥生はもちろん、雪也もわかっている。雪也がこの件で周を責めることなどない。だから、大丈夫。  その声にならない思いが伝わったのだろう、周は小さく安堵の息をついて弥生を見つめた。 「煮物、しようと思ってたけど、でも、もう時間が遅いから……」  確かに、男が随分と粘ったこともあってすでに夕方近い。今から煮物をするには無理があるだろう。 「ならば、今日は水炊きでどうだ? 白菜も豆腐もあるぞ」  弥生の提案に周はコクリと頷く。では行こうかと周と雪也を促し、サクラとじゃれ合っていた由弦と紫呉を呼んだ。

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