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第149話

「雪也ー? もうちょっとで飯だぞー」  朝はあまり強くない雪也であるが、今朝は周が朝食を作り終えてもまだ瞼を閉じていた。常に真面目で規則正しい雪也が珍しく寝坊している姿に、由弦は少しニコニコとしながら肩をゆすっている。小さく寝息が聞こえるのでただ熟睡しているだけなのだが、周は目を細めて懐に入れた薬包を取り出し、視線を落とした。 (もしかして、これ……)  雪也は薬売りを生業にするだけあって、薬には精通している。下手なものを調合するなどあり得ない。けれど、今日は雪也が随分と深く眠っている。確かに昨夜、雪也はどこかへ出かけていたようだが、そう長い時間ではなかった。夜更かしというほどでもなかったように思う。現に雪也が寝たのを確認してから眠った周は、普通に朝起きることが出来たのだ。 「雪也~」  由弦が根気強く肩をゆすって名前を呼び、サクラも参戦して雪也の顔を舐めまくっている。それでも深く眠っていた雪也であったが、しばらくすると睫毛の長い瞼がフルリと震えた。

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