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第155話

「……周」  開かれた門を出ようとしたその背中に、優は名前を呼ぶ。振り返った彼に、いつも浮かべる笑みを見せた。 「変わらず、雪也の側にいてあげてね。きっと雪也は、それが一番嬉しいだろうから」  きっと深入りせず、今まで通り雪也と仲良くしてほしいと優は言いたいのだろう。弥生と同じように、優も親代わりとなって雪也を可愛がっているから。そう周は自分の中で結論付けると、しっかり頷いて見せた。そして駆け足で帰っていく。その姿を見送った優は門を閉めると小さく息をついた。 (昨日……弥生と紫呉が叱ったからか?)  脳裏に周が持ってきた薬包を思い浮かべ、思わず眉間に皺が寄る。それを指で解しながら自室へと戻った。そして作り置きしている薬の中から、ひとつの薬包を手に取る。周が持ってきた薬包と同じ薬だ。 (とりあえず、弥生に伝えておこうか)  もう少ししたら帰ってくるはずだ。それまでに、色々と考えを纏めておかなければならない。  昨日に何があっただろうかと細かく思い出すように、優は瞼を閉じた。

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