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第374話

「姫宮様は、お戻りになりたいと、仰るなら、華都に帰して、さしあげてくれ。……ッ……、その時は、そなたが華都まで、共に行ってくれたら、儂は安心できる。じゃが、弥生……、それが終われば、父と共に、衛府を去れ。そなたも父親も、芳次とは合わぬ」  生真面目という点ではどちらも同じであるが、根本的なところが違う。芳次と弥生、そして弥生を育てた――見た目はともかく性格はそっくりな春風当主は相反する。どこがと聞かれれば茂秋にも上手く説明はできないが、彼らが共にあれば潰し合う未来しかないだろう。 「合いませぬか」 「何を、今更……。そなたが一番、わかって、おろうに……」  だから離れた方が良い。今は茂秋が将軍であるから、弥生と芳次が合わなかったとしても問題はないが、芳次が将軍となれば、春風家が持つ人脈を疎ましく思うだろう。あるいは疑心にかられることもあるかもしれない。

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