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第397話

「そんな顔してやんな。本当に、仕方ねぇことなんだよ。多分、雪也が変わんねぇ内はお前が勝てることは無い。だが、それはお前が劣ってるってわけじゃねぇんだよなぁ」  本当はこんなこと、言っちゃいけねぇんだけど。そうポツリと呟いて渋面を作る己を宥める紫呉に、月路は眉間に皺を寄せたまま紫呉の僅かに逸らされた瞳を見つめる。どういうことだ、と問い詰めるようなその視線に、紫呉は苦笑した。 「お前は役に立たないと捨てられるなんて、普段思うことはないだろ?」  失敗は死でもって贖う、なんて陰で生きる者であっても強要されることは無い。せいぜいが叱責を受けるか、減俸処分される程度だ。主が春風家で、武を掌るのが紫呉である限り、それは僅かも疑わない。だが、それが何だと言うのだろう。

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