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第427話

「周、落ち着い――」 「落ち着け!? 落ち着いて? 無かったとこにして? それで? また、雪也は――」  雪也は、同じことをする。周たちを守る為に、使えるモノはすべて使って、傷ついて。そんなこと――ッ! 「二度とこんなことしないでッ!」  今まで感じたことがないほどに周の心は荒れ狂って、上手く制御できない。これ以上ここにいては雪也に暴言の限りを吐いてしまいそうで、周は雪也の胸元から手を離すと立ち上がり、荒々しく外へ向かった。そんな周の姿に雪也は戸惑い、目を見開く。とにかく追いかけなければと立ち上がりかけた時、その肩をそっと押して由弦が雪也を再び座らせた。 「なんかよくわかんねぇけど、俺が行くから雪也は寝てろよ。今は周も頭がグチャグチャになってるだけだ。すぐにいつもの周に戻るって」  な? と柔らかに笑って扉に手をかけた由弦は、一瞬迷って立ち止まり、雪也を振り返る。 「でもさ、俺も怒ってねぇわけじゃないから。こんなこと、二度とすんなよ」  珍しく混乱を露わにしている雪也は、たぶんこれでもわからないのだろう。小さく息をついて周を追いかけるために外へ出た。

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