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第431話

「あの、さ……。俺がこんなこと言うのも、おかしな話だとは思うんだけど、でもさ、なんというか、その……、あんま怒んないでやって?」  そんなことを言えば、周と由弦の怒りに再び火をつけてしまうかもしれない。そう考えはしたものの、結局耐えきることができず湊は恐る恐る、なんとか良い言葉は無いかと探しながら口を開いた。ギュッ、と周が強く拳を握ったのが見える。 「でも怒んねぇと雪也は――」 「そう簡単に生き方は変えられない」  眉を吊り上げて勢いよく振り返った由弦の言葉を、湊は遮った。そう、そんな簡単に変えられたりしない。染みついて、離れてくれないのだから。 「俺も、今回雪也がとった行動が正しいなんて思ってない。周や由弦が間違ってるとも思わない。でもさ、なんとなく、雪也がなんであんなことをしたのかは、わかる気がする」  ピクリと、周の手が震える。ゆっくりと顔が上がって、湊の綺麗な瞳を見つめた。

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