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第438話

「雪ちゃんが言う〝最も確実で、最も害がない方法〟だったから、仕方が無かった、雪ちゃんは間違ってないよって僕に言ってほしいの? 悪いけど、僕はそんなこと言わないよ。今回の雪ちゃんは全部を間違ったんだから」 「ッッ――」  まちが、い……? 「確かに、どうにかした方が良いって言ったのは僕だ。それを今ほど後悔したことはないよ。最も確実で、最も害がない、だっけ? そうかもね。確かに雪ちゃんの思惑通り、すべてが動いたよ。多分あいつも、今回の事で雪ちゃんたちを疑ったり恨んだりはしないと思う。でもね、誰もこんな方法を望んでなんかなかったよ」  雪也が犠牲になれば、それが一番確実で安全なら、その方法が最適だなんて誰も思わない。雪也が犠牲にならない方法があるなら、どれほどの遠回りだって皆納得し、協力しただろう。  あの時不安を覚えたのに、言葉にせず雪也を止めなかった自分が恨めしくて蒼は唇を噛む。  今回は、まだ大丈夫だった。雪也は倒れてしまったけれど、命はまだある。だが、その次は? 止めない限り、雪也は再び同じことを繰り返す。そして次にまた命が助かる保証など、どこにも無い。

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